[映画編] サブマリン。

13. ページ13

合う学び方は人それぞれと言うし、彼がこれからの数週間、俺の何倍も忙しくなるのは紛れもない事実だ。
モチベーションを失わせないためにも、やり方くらいは彼の望む通りに任せた方が良いだろうか。


「わかりました、教える際は日常会話に重点を置きます。一応、変装も多少は嗜みがあるので手伝えることがあればお教えします」

「へぇ…ま、確かにアンタは似合いそうだな。意外性も何にもなくて面白くはねぇが」

「…？ありがとうございます」

「てめぇ、そういう趣味でもあんのか？」

「趣味？いえ、変装は仕事ですが」

「へぇ、そうかよ。ま、必要があったら利用させてもらうぜ」


俺の顔をじろりと眺めてそう言ったピンガが、変装は変装でも性別を変えて女装をすることになっていたなんて、この時の俺はまだ知らない。

だから、ソファに腰掛けるジンが俺たちの噛み合わない会話に笑っていた理由を知って納得したのは、その日の任務が全て終わって暇になったジンの口から、グレースの話を聞かされた後のことだった。

14. 数日前。→←12.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す