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これまでの “弟” としての立場を一瞬にして脱ぎ捨て、“日本警察の捜査官” としての在り方へと切り替えたスコッチに、そういえば彼もただ優しいばかりの人物ではなかったのだと半ば強制的に思い出させられ、冷たい汗が背を伝う。
しかしAはといえば、驚くこともなく怒るでもなく、寧ろこれまで以上に嬉しそうな笑みすら浮かべているのだから、この兄にしてあの弟ありと考えるべきか。
互いの正義を認めつつ、妥協できないところでは線を引き、それでいて互いを恨まないなど、一朝一夕にできることではない。
それらを簡単にやってのける彼らは、今の関係にたどり着くまでにどれ程の苦難を越えてきたのか。想像するより他無かったが、簡単な道ではなかっただろう。
それでも、たった一人の大切な家族である弟と話すことすら許されない立場の私からすれば、二人の関係性は十分に羨望の対象だった。
「ふふ、勘が鈍ってないみたいでなによりだ。YesともNoとも答えられなくて申し訳ないところだけれど、適当に察してくれ」
『残念、やっぱり兄さんはこのくらいじゃ引っかかってくれないか』
「まぁ、仮にも組織の幹部だからな。…それじゃあ、短くて悪いけど電話は切らせてもらうぞ」
『ああ、わかった。俺が捕まえに行くまで無事でいてくれよ、兄さん』
「……お前は意地でも生きろ、景光。じゃあな」
余韻も何も無くプツリと切られた電話を片手に、切った張本人であるAは小さく息を吐いている。
未来の兄の無事を乞う弟に、この男は、わかったとは答えなかった。努力する、とも。
それでいて、弟にはまるで命じるかのように、生きろと告げて一方的に会話を切り上げたA。
きっとスコッチは、電話の向こうで少なからず怒っているだろう。自らの無力を悔しくも思っているかもしれない。誤魔化して逃げるかのようなAの言葉は、やり方は、弟に対して誠実ではなかった。それは決して、褒められたものでは無い。
だけど私には少しだけ、そんな風に逃げてしまう彼の気持ちが、分かってしまうような気がした。
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櫂渦【とーか】(プロフ) - チャパさん» 嬉しすぎるお言葉、ありがとうございます！！マイペース更新にも関わらず追いかけてくださっていること、本当に嬉しいです。これからもお気の向く限り、男主の人生にお付き合いいただけますと幸いです( * ･ᴗ･ ) (2023年2月26日 9時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
チャパ - 沢山の作品の中で作者様のジンが1番好きです。飽きやすいので見なくなる作品は多々あるのですが、ずっと飽きることなく読ませてもらってます。前々から思っていたのですがふと好きだなーという感情がわいてきたのでコメントさせていただきました。長々とすいません。 (2023年2月23日 21時) (レス) @page38 id: b567095a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2022年6月19日 21時
