【コナン】寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ19)

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19. 俺の兄さん。ページ19

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人気のない裏路地。
薄暗いそこに、一人の男が足音もなく現れる。
男は少し辺りを見回すと、携帯を取り出した。
どこかへ連絡を入れているようだ。

操作を終え、携帯をポケットにしまい直した男だったが、すぐにまたもう一度それを取り出す。

ヴーッ、ヴーッ……

静かな路地に小さく響くバイブ音。
どうやら、電話らしい。

チッ、と舌打ちをひとつ落として男はそれに出た。

「何だ。任務の報告なら今ラムに送ったぞ」

『あら、そうなの？お疲れ様。
でも残念、ボスから新しい任務よ』

「チッ…今回の件が片付いたらしばらく仕事はないんじゃなかったのか」

『ちょっと急ぎの仕事みたいよ。取引でヘマをした上に逃げたおバカさんの始末ですって。詳しい内容は今からメールで送るわ。確認しといてちょうだい』

女の声に舌打ちで応えて電話を切った男は、メールを開いたのだろうか。なにやら携帯を見ていたかと思うと、もう一度舌打ちをしてボタンを触り始めた。

それにしてもこの男、随分と舌打ちが多い。
癖なのだろうか。

やがて小さく鳴り出した呼出音。
電話をかけているようだ。

『もしもし』

しばらくの後、出たのは若い男の声。

「俺だ」

『諸伏です、この間はすみませんでした。あんなに遅くまで付き合わせてしまって。』

「別にいい」

『ありがとうございます。…それで、今日はこんな急にどうされましたか？』

「明日、急な仕事が入った」

『あー、もしかして、俺と会えなくなっちゃったってことですか。』

「悪いな」

『いえ…残念ではありますけど、お仕事でしたら仕方ありません。じゃあまた、日付を変えてお会いしましょうか』

「ああ」

『黒澤さんは、いつならご都合がよろしいですか？』

「この間も言ったが、陣でいい…そうだな、来週の月曜なら空いてる」

『じゃあ陣さんでお願いします…わかりました、月曜日ですね。楽しみにしています、また大学でお会いしましょう』

「フン」

『わざわざお電話ありがとうございました。明日のお仕事も頑張ってください。では』

電話を終えた男は今度こそ携帯をしまうと、明るい表通りの方へと歩いていった。