【コナン】寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ13)

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「どうした、俺の顔になにかついているか」

そんなに長い時間ではなかったはずだが、俺が彼──前世の記憶に従うならばコードネームをジンという男──の顔を見て固まっているのが不審に思われたらしい。

失礼なことをしてしまったとは思うが、これはもう不可抗力というやつだまさかここでこの顔に出会えるとは思っていなかったのだから。

というかそもそも黒の組織って陰で色々暗躍する組織じゃなかったのか。こんなに目立つ容姿の幹部が変装もせずに昼間から大学構内ぶらついたりしていいのか。もう夕方だけど。

いや、ここは逆に考えるべきか。
組織の人間としてのジンを見た人間は皆消されているから彼はこうして堂々と出歩けるのだ、と。

あるいはもしかしたら、この時期のジンはまだ組織に属していないのかもしれない。可能性としてはかなり低いと思うが、先入観にとらわれる危険性はさっき学んだ。

「すみません、不躾なことを。あまりにも髪が綺麗だったものですからつい見惚れてしまいました」

フン、と小さく鼻を鳴らして応えた彼に再び俺は確信する。ああこの人物はジンだ、と。

正直もう髪なんかよりも気になるものがありすぎて俺の脳内は軽くパニック状態だが、人として失礼なことをした以上は謝るのが筋だろう。たとえ相手が悪名高いジンだったとしても。

それに、今ジンの機嫌を損ねてしまうことは得策ではない。ズドンとされる可能性を避けたいというのももちろんあるが、ここで少しでもジンに気に入られておけば黒の組織に入るチャンスがもらえるかもしれない。

いきなりそこまで上手くはいかないとしても、せめて何かの拍子に俺の名前を思い出して貰える程度には印象に残っておきたかった。