サブチャンネル【短編集】

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俺の実家の畳に、トミーとキイチが座っている。その様子をぼーっと見ていた俺は、ふと気づいた。


「あ…これ、夢か。」


最近、夢の中でこれが夢だと自覚することが出来るようになった。所謂『明晰夢』というやつが出来るようになったのだ。


夢の中なら何してもいいよな、といつもは叩いたり出来ないトミーの頭をぺしっと叩いてみたり、キイチをくすぐってみたり。一人で遊んでいたけれど何も反応しない彼らが気味悪くて直ぐにやめてしまった。


突然、トミーがこちらを振り返って何かを呟く。


「…は…だ」


「ん、なに？」


トミーの口に耳を近づけるとその言葉ははっきりと聞こえた。


「Aは俺のだ。カンタなんかいらない。」



「…っは！」

夢から醒めた瞬間、椅子から転げ落ちてしまった。うう、と呻き声を上げながらのたうち回る。机の上のパソコンには編集しかけの動画が映っていた。大方編集中に寝てしまっていたのだろう。


床から椅子へ這い上がって手探りでメモ帳を探す。がしゃがしゃと紙が擦れる音を立てながら見つけ出したメモ帳は、もう残り2ページしか残っていなかった。

＿実家、トミーとキイチが座ってる、トミーがAのことを喋ってきた＿


ペンをピタリと止め、自然と立っていた鳥肌を撫ぜた。大丈夫、あれは夢。現実のトミーはまだ俺がAを好きなことを知らない。
ふう、と一息ついてメモ帳を見つめる。


「…そろそろ、辞めないとなあ。」


明晰夢を見れているうちはまだいいが、夢と現実を混合するのは困る。そうならないうちに夢日記を辞めてしまわないと。
そう常々思いながらも、やめられない。


検証の動画を投稿してから、優に3ヶ月は過ぎていた。



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