夢のまた夢 カンタ ページ28
明晰夢の話です
恋愛要素薄め、ちょっと怖い話かも?
長編
#
カンタside
「っはあ…はあ…」
俺は今、大きなライオンに追われている。
辺りはよく見知った帰り道で、しかし色彩はなく、モノクロの建物たちが並んでいる。
「っくそ!」
上手く走れず足がもつれてしまい、すぐに追いつかれてしまった。ゆっくりと近づいてくるライオンと、遠くから見てるだけの少女。
その少女が薄く微笑んだ瞬間、ライオンは俺に飛びかかってきた。
「っっ!!!」
チュンチュンと外では小鳥が囀り、1階からはテレビの音と話し声が微かに聞こえてくる。シーツは汗でぐっしょりと濡れていた。
「夢、か。」
ふう、と息をついてベッド脇のメモ帳に手を伸ばす。
_ライオンに追われる、周りの景色→白黒、ワンピースをきた女の子がいた_
書き終えたメモ帳をまたベッド脇に戻し、ぐぐっと伸びをしてから自分の部屋を出た。
リビングに降りると、テレビを見ながらプリンを食べていたAが俺に気付いた。
「お、カンタ起きたの。おそよー。もう11時だよ。」
「嘘!?昨日久々に打ち上げ行ったからかなあ。」
そうかもね、と言って笑う彼女を見ていつもの事ながら少し胸が苦しくなる。
俺は、昔から水溜りボンドの一員であり、またトミーの彼女であるAが好きだった。ま、トミーに先越されてからはこの気持ちも表出さないようにしてるけど。
「そういや、今日は夢見た?」
「ああ、うん。ちゃんと夢日記も付けたよ。」
『夢日記』について検証をする都市伝説系の動画を撮った時、負けた人は1ヶ月間、夢日記をつけ続けるという罰ゲーム付きのジャンケンをした。まあ恒例のように俺が負けてしまったのである。
「…ほんとに、危ないと思ったらいつでもやめるんだよ?」
Aが心配そうにこちらを見る。そんな彼女に俺は気にし過ぎだと安心させるように笑いかけた。
「大丈夫だよ、もう10日も付けてるけど何ともないし。」
「でも、現実と夢の違いが分かんなくなるって噂、あるじゃん。」
「噂でしょ?所詮、都市伝説だよ。1ヶ月くらいなら大丈夫だから。」
でも、とかだって、とか言いながらとっくに食べ終わっているプリンの容器をベコベコする彼女は、本当に俺のことが心配らしい。少し口元が緩んだ。
「…それに俺、YouTuberだし。皆の気になることを調べるのが仕事だから。ね?」
俺が念を押すようにそう言うと、ようやく彼女はこくんと頷いた。
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杉猫(プロフ) - リク話ありがとうございます!もこ坂可愛い。゚(゚´▽`゚)゚。消しゴムの顔が思い浮かぶくらい可愛いお話ありがとうございました! (2019年6月12日 18時) (レス) id: 04ecf5769a (このIDを非表示/違反報告)
ハクビ(プロフ) - Mai Yさん» リクエストありがとうございます!がんばります! (2019年6月8日 19時) (レス) id: 17afb1acf0 (このIDを非表示/違反報告)
Mai Y(プロフ) - トミーのヤキモチをリクエストしたいです! (2019年6月7日 21時) (レス) id: bc7e167811 (このIDを非表示/違反報告)
ハクビ(プロフ) - 桃さん» リクエストありがとうございます!エイジくん初挑戦、がんばってみます! (2019年6月5日 20時) (レス) id: 17afb1acf0 (このIDを非表示/違反報告)
かのい(プロフ) - リクエストお答えありがとうございます!めちゃくちゃ良くてキュンキュンしました!これからも更新頑張ってください! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハクビ | 作成日時:2019年5月21日 19時