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うぐっ、と言葉に詰まる。
そのまま上手くごまかせないで、とりあえずお茶出すね、と曖昧な笑顔でキッチンへ逃げた。
カンタさんに言われて以来、私は1度も彼にケーキをあげていない。
あの幸せそうな顔見れないのは辛いけど、トミーのためだよ、というカンタさんの言葉を信じて我慢していた。
紅茶を持ってリビングに戻ると、さっきとは一転してむすっとしたとみくんがそこにいた。
『はい、どうぞ。』
「…いらなーい。Aのケーキが食べたいの!」
やだやだ、と駄々をこねるみたいに足をばたつかせる可愛い人を見て、ぐらっと決意が揺らぎそうになる。
だめだ、せっかくとみくんが痩せてもっとかっこよくなってきてるというのに…!
『…ケーキは、ちょっと今はないの。』
「じゃあ作って?」
間髪入れずに彼は聞いてくる。
やっぱり賢い人だ、頭使う場所間違ってるけど。
『えっと、材料もないし…また今度、作ってあげる。ね?』
これで騙せてるのだろうか、とちらっと見ると彼もまたこっちをぎろっと睨んだ。
こ、こわい!
「…最近全然作ってくんない。ていうかウチにも来ない。なんで?」
『あう、えと、それは…』
行ったらまた甘やかしてしまいそうだから、なんて言えるはずもなくもごもごと口ごもる。
とみくんはふーっ、と息を吐くと床に座ってた私の顎をくい、と上げた。
鋭い視線に見下ろされて、ちょっとドキドキする。かっこいいなあ、なんて呑気に考えていると、唇を撫でられた。
「…じゃあケーキの代わりに、甘いもんちょーだいよ。」
『…どういう、いみでしょうか。』
「''これ''、食べてもいーい?」
頬をつつかれて、もう為す術もなく頷くと、噛み付くようなキスが降ってきた。
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おまけ
your side
「ねー、トミー1ヶ月でめちゃくちゃ痩せたんだけど!?」
久々に水溜りハウスに来て、カンタさんに会うなりびっくりした顔をされた。
『あ、そうですか!よかったです、頑張ってましたからね。』
私がそう返すと、カンタさんはでもねえ、と不思議そうに首を傾げた。
「どー考えてもケーキ抜いたくらいでは1ヶ月にあんな痩せんと思うのよ。運動も特にしてないし、なんか知ってる?」
『…はは、いや、分からないっすね。』
運動ならめちゃくちゃしてますよ、なんて言ったら質問攻めにあうからやめとこう。
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とみなあさん最近痩せすぎてこのまま無くなっちゃうんじゃないかって…思って…
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杉猫(プロフ) - リク話ありがとうございます!もこ坂可愛い。゚(゚´▽`゚)゚。消しゴムの顔が思い浮かぶくらい可愛いお話ありがとうございました! (2019年6月12日 18時) (レス) id: 04ecf5769a (このIDを非表示/違反報告)
ハクビ(プロフ) - Mai Yさん» リクエストありがとうございます!がんばります! (2019年6月8日 19時) (レス) id: 17afb1acf0 (このIDを非表示/違反報告)
Mai Y(プロフ) - トミーのヤキモチをリクエストしたいです! (2019年6月7日 21時) (レス) id: bc7e167811 (このIDを非表示/違反報告)
ハクビ(プロフ) - 桃さん» リクエストありがとうございます!エイジくん初挑戦、がんばってみます! (2019年6月5日 20時) (レス) id: 17afb1acf0 (このIDを非表示/違反報告)
かのい(プロフ) - リクエストお答えありがとうございます!めちゃくちゃ良くてキュンキュンしました!これからも更新頑張ってください! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハクビ | 作成日時:2019年5月21日 19時