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目を開けると真っ白い世界が広がっていた。
また別の世界に飛ばされてしまったかと思ったけれど、視界がはっきりしてくると、保健室のベッドに寝ていることがわかる。

小さく紙をめくる音が聞こえ、そっと音の聞こえる方を見ると、羽付き帽子の青年が本に視線を落としていた。

「気が付いたかい? 気分はどうだい?」

私の視線に気付いたのか、そっと声をかけてくれる。

「大丈夫です。……運んで下さったのですか?」

「キミは羽のように軽いからとても心配したよ」

彼が運んでくれたことには間違いないようだが、運んだ時の感想が出てくるとは思わなかったので驚きの表情が顔に出てしまった。

「そんなに驚かないでおくれ。保健室を借りる許可は取ってあるし、授業の方はキミの友人たちと空飛ぶ猫くんに頼んだから心配はいらないよ」

ありがとうございます、と伝えて、少々の沈黙。

「…… 」

沈黙に耐えられなくなって、思わず顔を上げると、また本に視線を落としてる姿が目に入った。

「私ももう少しここにあるからキミもゆっくりするといい」

そう言われてしまえば、ここでゆっくり過ごすのもいいか、と思った。

思ったが、そもそもここに運ばれた理由が彼ではないか。

あんなに顔が近づ……い、たら、誰でも卒倒する………

思い出したら頭が沸騰しそうなくらい熱いし、耳まで赤くなってくる。

火照った顔を手でペタペタと触り熱を冷ますが、なかなか治まらない。
仕方がないので、もぞもぞと布団を被り、彼に背を向けた。


彼が帽子の隙間から満足そうに微笑んだことも知らずに。

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作品ジャンル:恋愛
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りん - ルークさんほんっっッとに推しで大好きなのでこのようなすっっっっっっッッばらしい作品を作っていただいた主さんには感謝感謝の感謝祭です!無理をせず一日一日をお過ごしください。本当にありがとうございます! (2021年5月9日 0時) (レス) id: f49d756fab (このIDを非表示/違反報告)
朱珠(プロフ) - 尊都さん» コメントありがとうございます!私生活が忙しくてなかなか更新できていませんが完結までがんばっていきたいと思います!さて、10話の色彩ですが、ルークですら曖昧な表現になるくらい不確かな色ですね。表現を読み替えていただいても影響はないですよ! (2020年10月12日 22時) (レス) id: 37884d7f50 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 落ち着いた雰囲気のお話で読みやすく、結末も楽しみです!10話のルークさんの台詞が気になったのですが、ルークさんは「青っぽい紫色」という言葉遣いはしないような…?青紫やバイオレットなど、丁寧に、色彩の色ははっきり言いそうだな…と思いました! (2020年9月28日 4時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
朱珠(プロフ) - 愛羅さん» コメントありがとうございます!作品を楽しんでいただけて嬉しいです!また尊さを届けられるように作品を書き進めております♪ (2020年6月23日 19時) (レス) id: 0668f2644a (このIDを非表示/違反報告)
愛羅(プロフ) - 素敵です!!尊いです!!更新楽しみにしてます。 (2020年6月22日 20時) (レス) id: 2129d10c64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱珠 | 作成日時:2020年5月18日 12時

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