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薄紫色の綺麗な液体が小瓶の中で揺らめいている。光の具合いで、水色に見えたり、薄い赤色に見えたり、見ているだけでもうっとりするような美しさだ。

今日は登校日。
いつものようにグリムと一緒にオンボロ寮から校舎に向かって歩く。

「それ、どうしたんだゾ?」
小瓶の中の揺らめく液体を指差す。

「これ? これね〜、ふふ内緒!」

「オレ様に内緒だと〜〜〜? そうなったら……
こうなんだゾ!!」

「わわ! ちょっと…!」

ぎゅっと大切に握り直したところに、グリムが小瓶めがけて勢いよく飛びついてくる。

小瓶を守ろうと寸でのところで回避するが、手からするりと抜け落ちていき、バランスを崩して上体が傾く感覚でいっぱいになった。

まずい、と思った時には固く目を瞑ってしまい、次に来る大きな衝撃に身構えていた。

***

ガシャーン!!
と、小瓶の割れる音も、地面に体も触れず、代わりにトンと背中に小さな衝撃が与えられるだけだった。

「大丈夫かい?」

優しいが頭の上から降ってきた。
何が起こったのかわからず、恐る恐る目を開いてみると、絡まった自分の足がまず目に入った。そのすぐ横に丈夫そうな靴も見える。

自分の左手を見ると、黒いレザー素材の手袋に小瓶ごと手が握られている。

右手は宙に浮いているが、肩に手が添えられており、背中は声の主の上半身に寄りかからせてもらっていた。

「あ… す、すみませ……っ!」

咄嗟に謝ろうと上を向くと、綺麗に整った顔が目の前にあった。

艶の良い髪が、私の顔のすぐ横をまっすぐ流れており、帽子の(つば)は私の(あご)の下あたりにきている。

お互いの鼻が触れそうなほど近い位置に顔があって、驚きを通り越して、眩暈(めまい)を起こしたかのように頭がくらくらする。


傍から見ると、口付けを交わしているように見えるかもしれない……

と思ったところで意識が途絶えた。

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作品ジャンル:恋愛
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りん - ルークさんほんっっッとに推しで大好きなのでこのようなすっっっっっっッッばらしい作品を作っていただいた主さんには感謝感謝の感謝祭です!無理をせず一日一日をお過ごしください。本当にありがとうございます! (2021年5月9日 0時) (レス) id: f49d756fab (このIDを非表示/違反報告)
朱珠(プロフ) - 尊都さん» コメントありがとうございます!私生活が忙しくてなかなか更新できていませんが完結までがんばっていきたいと思います!さて、10話の色彩ですが、ルークですら曖昧な表現になるくらい不確かな色ですね。表現を読み替えていただいても影響はないですよ! (2020年10月12日 22時) (レス) id: 37884d7f50 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 落ち着いた雰囲気のお話で読みやすく、結末も楽しみです!10話のルークさんの台詞が気になったのですが、ルークさんは「青っぽい紫色」という言葉遣いはしないような…?青紫やバイオレットなど、丁寧に、色彩の色ははっきり言いそうだな…と思いました! (2020年9月28日 4時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
朱珠(プロフ) - 愛羅さん» コメントありがとうございます!作品を楽しんでいただけて嬉しいです!また尊さを届けられるように作品を書き進めております♪ (2020年6月23日 19時) (レス) id: 0668f2644a (このIDを非表示/違反報告)
愛羅(プロフ) - 素敵です!!尊いです!!更新楽しみにしてます。 (2020年6月22日 20時) (レス) id: 2129d10c64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱珠 | 作成日時:2020年5月18日 12時

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