21.鈴芽side ページ23
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草太さんを追いかけてミミズに飛び込んで、しがみつく。
遠くに見えたのは、草太さんを抱えるAさんの姿。
──────Aさんは、あの椅子が草太さんだって、気付いていたんだ。
「──────⋯わっ⋯!!」
ミミズの上は思っていたよりずっと不安定で、落っこちそうになる。
私の声が草太さんとAさんに届いたのか、2人とも私の方に振り向いて、草太さんが駆けつけてきてくれるのが見える。
「⋯草太さん⋯!」
「鈴芽さん!なんて無茶を!」
「だって!」
「ミミズの表面は不安定だ⋯離れない方がいい」
草太さんは冷静になりきれていなくて、Aさんの影響なんだなって、簡単に想像がついた。
「Aさんは大丈夫なの!?」
「⋯」
今は椅子だから分かりにくいけど、きっと今の草太さんの顔は曇っている。
「ミミズが──────街を覆っていく!」
早くなんとかしないと、このままじゃ⋯!
「草太さん、これって⋯」
「ああ、これが地上に落ちたら、関東全体が─────」
草太さんの声は、怒りなのか恐怖なのか分からないけど、震えている。
「もう、要石を刺すしか方法はないんだ。ダイジンはどこに⋯!」
ダイジンを見失って、どこにいるのか分からなくて、私たちはただ、ミミズの渦の中心に向かって走っている。
「──────すーずめっ!」
私は立ち止まって、声の方向を見上げると──────ダイジンがそこに座り込んでいた。
「みみずがおちて、じしんがおきるよ」
ダイジンは、楽しそうに笑う。
「──────要石!!」
草太さんは叫びながら、ダイジンの方へ駆け出していく。
けど──────ギギ、っと
「⋯草太さん?」
そして、カタン。と、草太さんは音をたてて横に倒れ込んだ。
「──────どうしたの!?」
ダイジンの黄色い目が、大きく開かれる。
「いまからたくさん、ひとがしぬ」
「どうしてそんなことするの⋯!?あんた、いい加減要石に戻ってよ!!」
「むり。──────だいじんは、もう、かなめいしじゃない」
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しろりん(プロフ) - って事かな?すごく気になる!(芹澤くんも夢主ちゃんの事…好きなのかな?)夢主ちゃんが助かりますように…更新頑張ってください!(。>ㅅ<)✩⡱ (4月22日 14時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - 最高です…!草太くんが早い段階で人間に戻って鈴芽ちゃんと一緒に夢主ちゃんを救う為に中盤以降も旅をする』って、パターンは初めて読みました…!と、いうことは草太くんもこれから、お爺さまに会いにいったり芹澤くんとの絡みも増える… (4月22日 14時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - 待ってました!!!!ご自愛してね (6月19日 0時) (レス) @page31 id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
ネコ型ロボットだけど人っす(( - いや〜、主人公ちゃんが要石になってしまった…、こんなストーリーもいいもんですね!作者さんすげぇ、自分はこんな凄いの書けませんよ、そもそも思いつきすらしませんww私は書くよりも見る派なので!(?)これからも頑張ってください!応援してます! (2023年4月4日 16時) (レス) @page31 id: 3d37e04deb (このIDを非表示/違反報告)
RENA(プロフ) - すきです!!更新されるのを楽しみにしてます.がんばってください! (2023年2月5日 23時) (レス) @page31 id: a8ec99ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:萌娜 | 作成日時:2022年11月27日 21時