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北山ｓｉｄｅ
裕太「片桐さん、ずるいよ･･･ そんなふうに言われたら俺･･･」
膝から崩れ落ちるように座り込んでしまうタマ。
統括マネ「大切にしたい想いなら、大切にすればいい。
でも、今は、かたちにできるタイミングじゃないと思う。
それに、彼女の気持ち、確認したわけじゃないんでしょ？
あなたの想いだけで、彼女の居場所を生活環境を壊せないでしょ？」
穏やかに、タマに話しかける片桐さんに、
裕太「そんなこと、言われなくても分かってるよ。
けど、どうしようもないくらい、美鈴さんのこと好きなんだ･･･。
こんなにも誰かを好きになること初めてで･･･」
タマも、静かに、気持ちを伝える。
統括マネ「私は、人を好きになることを否定しないわ。
けど、冷たいようだけど、認めてもらいたいなら、
私たちスタッフが、何も言えなくなるくらい、
あなたの意志を、ちゃんと伝えられるように、
今は、仕事と向き合うことを最優先で考えてほしいと思ってる。」
しばらく沈黙が続き、タマは、気持ちを整理してるようだった。
裕太「片桐さん、俺、そんなこと、嫌っていうくらい分かってる。
大丈夫･･･ちゃんと、分かってるから･･･。」
呟くように、そう言った後、一呼吸置いて、
裕太「迷惑かけてしまって、すみませんでした。
この話は、おしまい。
もうすぐ集合時間なんで、みんな来ちゃうから。
片桐さん、雑誌に掲載されないんだし、
心配かけたくないから、他のメンバ−には、黙っててください。」
穏やかにそう言った声は、いつものタマのト−ンだった。
統括マネ「･･･分かったわ。」
片桐さんが会議室を出るとき、タマは、背中を向けて、窓の外を見ていた。
それを確認した片桐さんは、小声で、
『玉森を、支えてやってね』って、俺に伝える。
俺は、片桐さんは、いろんな想いで、タマの気持ちを受け止め、
それ以上、何も言わなかった･･･って言うか、言えなかったんだと思った。
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作者名：波瀬(Ｎａｍｉｓｅ) | 作成日時：2017年9月17日 18時
