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北山ｓｉｄｅ
タマが片桐さんから手を離して向かった先には、ペン立てが置いてあって、
タマの右手には、カッタ−が握られて、首筋に当てられていた。
「タマ、やめろ！」
統括マネ「玉森、やめなさい！」
さすがの片桐さんも、動揺していた。
裕太「片桐さん、俺、これ以上無理だわ。
今まで、真剣に仕事と向き合ってきたし、
事務所の方針にも従ってきたと思ってたんだけど、まだ、足りないの？」
タマの言葉に、俺も思い当たることがあった。
仕事の忙しさ、身に覚えのない週刊誌の記事、
いろんなプレッシャ−の中にいると、
ときどき、すごく不安になることがあって、
その吐き出しかたを間違うと、とんでもないことになる。
ライブでは、あんな大勢のファンの人たちに応援してもらえてるのに、
プライベ−トは、結構、孤独だったりする。
俺は、言葉が見つからなくて、無言になる。
そんなとき、
統括マネ「この仕事で生きていくことは、あなたが選択したことでしょ？
この世界でって決めたのなら、
求められたことに応えるのが、あなたの仕事のはずよ。
あなたは、キスマイは、いろんな人の想いに支えられて存在してるの。
そして、たとえ、あなたが望まないことでも、
スタッフとして、あなたたちを支えてる一人として、
アイドル玉森裕太、キスマイにとって、
マイナスになることを排除していくのが、私の仕事の一部なの。
理解してほしいなんて言えないし、
場合によっては、
あなたたちの気持ちに寄り添えないこともあると思うけど、
それでも私は、この仕事に誇りをもって向き合っていたいと思ってる。」
片桐さんは、自分の思いを、タマに必死に伝えてた。
俺たちは、支えてくれる人たちに感謝の気持ちを忘れないようにして、仕事をしてきた。
スタッフさんが、自分たちを支えるために、すごく頑張ってくれてることを感じてた。
だから、片桐さんの言葉は、きっと、タマの心にも届くと思う。
間違った選択をして、後悔だけはしないように･･･
そう願いながら、タマを見守ることしかできなくて、
しばらく沈黙が続き、静かな時間が流れる。
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作者名：波瀬(Ｎａｍｉｓｅ) | 作成日時：2017年9月17日 18時
