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「っつ……」

「まーしぃ!!!!」

「あれ…俺…事故に……!?Aは!?」

「……事故から、1週間経ってるで。A、は………」


 
目覚めた俺に告げられた無慈悲な宣告。
1週間も寝ていた、隣にAがいない、寝ているわけでもない。
そして、センラ君が苦しそうに言いよどむ。
その事が、俺の脳内でぐるぐると回って、1番考えたくない結果を閉じ込めていた。

このまま考えることを放棄して、意識すらも手放すことができたなら
どれほど幸せなことだろうか。

そんな俺の懇願を受け入れないと言わんばかりに口を開いたのは
医療を仕事にしていた、坂田だった。



「……まーしぃ、お願い。聞いて。」

「嫌や。」

「分かっとるんやろ?なぁ……言わせて?」

「嫌…「聞けって言ってんだろうが!!」」

 
すでに心のどこかではわかってしまった現実を。
彼の……仲間から聞いてしまったら、受け入れざるを得なくなる。
駄々っ子のように首を振り、涙をこぼしている俺を怒鳴ったうらたんの目にも涙が浮かんでいた。

うらたんだけやない、俺の肩に置かれているセンラ君の手も震えていたし
俺の手を握っている坂田もボロボロと涙をこぼしていた。


 
「分かっとる…分かっとるよ。あの事故で、俺とAはトラックに跳ね飛ばされて。

Aはいないってことは…もう……この世には……いないんやろ……??」


 
そうなんやろ…?涙と嗚咽で声にならない声を上げながら
自分で自分に言い聞かせるようにして………あぁ、なんで俺は、愛する女1人も守れなかったんだろう。
これが、反対ならば、どんなによかったことか。


 

「俺が眠ってる間に…全部終わって……アイツはもう、灰になったんやろ…?」

「……あぁ。」

「…そっか。」


 
最期の別れも言えんで、何のんきに寝てたんやろうか。
こんな俺に、生きている価値なんてない……愛する君がいない世界なんて…生きている意味…

 
 
「あるに決まっとるやろ!?」

「坂田……でも、俺…俺は……」

「志麻君、Aは生きてます………志麻君の中で。」

「…そんな、綺麗事…」

「綺麗事なんかじゃ、ねぇよ。ホントにお前の中で生きてんだよ。」



 
は……空気にこぼれる様に、意味わからんという意味を込めた言葉を吐き出した。
俺の中で?Aが……生きてる???
ショックが多すぎてキャパオーバーを起こした脳はとっくの昔に考えることを放棄している。

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ほさと - とても感動しました。占ツクの歌い手様を扱った作品には珍しくしっかりと小説になっていて、一介の読書好きとしても嬉しかったです。どの作品もとても美しい比喩があり、音読したい作品だなぁと思いました。 (2019年7月14日 20時) (レス) id: fdc2472f82 (このIDを非表示/違反報告)
弓乃 - 皆様の素晴らしい文章に心が震えました。ありがとうございます。執筆お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。 (2019年6月17日 16時) (レス) id: d99258de7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 x他5人 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年5月3日 1時

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