所詮、籠の中 ページ25
「――あー、さむさむ」
そろそろ、夕方になると上着なしでは肌寒くなる季節だ。
スーパーの袋を両手に、早歩きで自分の家へと急ぐ。
ガタガタ…!ガン!
路地裏に差し掛かったとき、背後から名前を呼ばれ、ふと振りかえると――
「A。久しぶりでござるな。」
「ば…万斎さん…どうして…」
万斎は明らかに動揺しているAへゆっくりと近づく
「晋助に頼まれてな…」
高杉の名が出たことにより、Aの手から袋が落ちる。
そんなAにお構い無く万斎は近付き用件を話し出す
「晋助がぬしを呼んでいる。拙者と一緒に来ては貰えぬか?」
一見柔らかい物腰の穏やかな声色
「晋ちゃんがわたしを呼んでる…
その前に聞きたかったんだけど、晋ちゃんが私に見張りをつけてたって、どーいうこと?
銀時やこたっちが斬られたっていうのも…
全部、万斎さんは知ってるの…?」
着物の袖口をぎゅっと握り締めて、万斉を見詰めるAは、視線の鋭さとは裏腹に泣きそうな声で問いかける
そんなAの態度に一度口を閉ざす万斎
だが表情を崩す事はなく歩みを進めやがてAの目の前へと立った時
「鬼兵隊の艦で詳しいことは話すと約束しよう…。
拒むようなら無理矢理にでも連れてこいと言われている。手荒な真似はしたくない、大人しく拙者と一緒に来ては貰えぬか?」
一見柔らかい物腰の穏やかな声色で、脅しにも取れる言葉を口にした万斉。
「っ………!」
「後で…説明してね。」そう確認したAは怒りや不安、悲しみと怯えが入り交じった様な実に混沌を表した表情を浮かべている
「約束しよう…、」
同じく辛そうな顔をした万斉の顔を見て、コクンと小さく頷いたAの頬に、涙が伝っていた。
万斉はAの涙を、そっと拭った。
「…すまぬな、A」
そして沈む夕陽に背を向けて、歩んでいったのだった。
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あつぽん(プロフ) - 皆様!コメント、本当にありがとうございます。 「早く続きがみたい」「この作品好きです」なんて、うれしすぎます♪ 辞めようか悩みつつここまでこられたのは、皆様のお陰です♪今後も作者もキャラも病むことがあるかもですが(笑)、応援よろしくお願いいたします!! (2015年4月7日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)
♪horn♪ - 更新頑張ってください!この作品大好きです (2015年4月4日 20時) (レス) id: be30e08dd1 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎 - 早く更新してくれ!! (2015年4月3日 21時) (レス) id: 9c46149290 (このIDを非表示/違反報告)
柑那(プロフ) - 初めまして!あつぽんさんの高杉さんが大好きです!これからも体調に気を付けて無理せず、更新頑張ってくださいねっ。応援しています。 (2015年4月3日 21時) (レス) id: a875c36e65 (このIDを非表示/違反報告)
坂田なーちゃん(プロフ) - いえいえ☆ヤンデレ銀さんやばいッッ(*ノ3ノ)銀さんエロす//////笑笑続編頑張ってくださいね(*゚▽゚)ノ応援してますッッ!!! (2015年4月2日 0時) (レス) id: 93e9faaf83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2015年3月14日 8時