手折るなら、自ずから ページ14
――高杉side
俺の望む以上に、奴は妹を愛し過ぎてる。
俺の望む以上に、妹は奴を愛し過ぎてる。
“晋ちゃん、晋ちゃん”と、
俺の後をついて回っていた世界が、彼女にとって嘘かのように。
そしてそれは、Aに対する新たな感情を俺の中に芽生えさせた。
喪失感や、嫉妬というものだったなら。どれ程気楽な感情だったか。
ただ、俺はAが――
「晋ちゃん!
時間より前に来てるなんて、珍しいね!」
「たまにはなァ…。」
「今日も美味しそうっ!」
Aは既に整えられた食事を見て微笑むと、高杉の隣に座る。
「最近はどうだ、何か困ってねェか?」
「んー……
そういえば、江戸では辻斬りが流行ってるらしいの。
私は大丈夫なんだけど、銀時が無茶しそうでちょっと心配かも…」
「そうか…」
「もちろん晋ちゃんのことも心配だよ!
無茶しないでね!」
「まァ、俺はお前らみたいに鈍くさくねェからな。上手くやるさ。」
「晋ちゃんひどい!」と頬を膨らませるAを見て笑っていた高杉だったが、首筋についた紅い跡を見てAの頭を撫でていた手を止めた。
「どうかした?」
「体調悪い?」と高杉の顔を覗き込むA。
「そうさなァ……まァ体調悪ィのはお互い様じゃねェか?」
高杉はフッと笑い、Aの頬に手をあてる。
「お前、また痩せただろ。それに寝てねェな…。」
「銀時か…」と呟いた高杉は、Aの頬から指を滑らせ、首筋の紅い跡をなぞる。
意味に気がついたAが俯けば、「当分の間、夜は控えろ」と強制力を孕んだ声が降ってくる。
「お前、ただでさえこの時期は体調崩すんだ。毎晩盛られたんじゃたまんねぇよ…」
真っ赤になったAの頬に再び手を添えると、Aの顔を上げさせた高杉。
その瞳の奥に底知れない闇を感じて、Aは息を呑んだ。
「晋、ちゃん。なんか、」
「どうしたA、俺の言い付けは聞けねえか?
それとも――俺が恐ェか…?」
何にも囚われない、清らかで、自由で、無知な
――真白の花
そんな彼女のままで居てほしい。と、望んでいた俺も、確か居た。俺の代わりに、何にも汚れないままで。そう希望を乗せて、彼女を銀時に託した。
それも、事実。
「Aは、正直だなァ」
「晋、ちゃん…?」
「素直で、何にも縛られず、どこまでも真っ白なまま。どこまでも綺麗なままだ。
俺はよォ…そんなお前を見てると、
――どうしようもなく、壊したくなる」
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あつぽん(プロフ) - 皆様!コメント、本当にありがとうございます。 「早く続きがみたい」「この作品好きです」なんて、うれしすぎます♪ 辞めようか悩みつつここまでこられたのは、皆様のお陰です♪今後も作者もキャラも病むことがあるかもですが(笑)、応援よろしくお願いいたします!! (2015年4月7日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)
♪horn♪ - 更新頑張ってください!この作品大好きです (2015年4月4日 20時) (レス) id: be30e08dd1 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎 - 早く更新してくれ!! (2015年4月3日 21時) (レス) id: 9c46149290 (このIDを非表示/違反報告)
柑那(プロフ) - 初めまして!あつぽんさんの高杉さんが大好きです!これからも体調に気を付けて無理せず、更新頑張ってくださいねっ。応援しています。 (2015年4月3日 21時) (レス) id: a875c36e65 (このIDを非表示/違反報告)
坂田なーちゃん(プロフ) - いえいえ☆ヤンデレ銀さんやばいッッ(*ノ3ノ)銀さんエロす//////笑笑続編頑張ってくださいね(*゚▽゚)ノ応援してますッッ!!! (2015年4月2日 0時) (レス) id: 93e9faaf83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2015年3月14日 8時