【銀魂】狂愛兄貴と嘘彼氏【高杉】【銀時】

重なる影 ページ40

「銀時が、好きだよ｣



今でもずっとずっと、永遠に、わたしは晋ちゃんが大好きで。わたしには、晋ちゃんが絶対なんじゃないかなって思う。だけどね、晋ちゃん。ごめんなさい。



｢嘘、だろ……｣

｢嘘言わないよ｣

｢だって、高杉、は｣



もしも晋ちゃんに、銀時と別れろって命令された時には、わたしは生まれて始めて、晋ちゃんに逆らうんじゃないかって思ったの。


｢晋ちゃんのことも大好きだよ。それは当たり前じゃない。



――世界で一番､大好きなお兄ちゃんだもん。｣



好きだよ。大好きだよ晋ちゃん。だけどね、銀時は違うの。

女の人と二人で歩いていく晋ちゃんの背中を、わたしは何度も見ていたんだよ。何度も唇を噛み締めて、涙をこらえて、見送った。

だけどね、もしも銀時が、わたしに背を向けてしまったら、わたしは耐えられない。見送るなんて、きっと出来ない。


｢銀時が、好き。だから、銀時はわたしを許せなくてもまだ、好きでいてくれるなら。明日からも…、明日も、明後日も、わたしの彼氏で、いてください。｣


誰かに、好きだと伝えることは。勇気が必要で、恐怖が付き物で。だけどこんなにも、心が軽くなることなんだと知った。


カラン、カラン……

男が手から離した缶が転がった音が響き。同時に、彼女の身体は、背伸びするのを支えられるように抱きしめられる。


結われた髪の、桜が淡く輝いていた。

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