柔く抉る刃 ページ23
「やっぱりなァ………」
どうして、という顔をしていたのだろうか。
クツクツと笑い、落とされた言葉は、すべて見透かしていたことを物語るものだった。
「晋ちゃんは…知ってたの?」
「あ?」
「………銀時がわたしのこと好きだって。
晋ちゃん、知ってたの?
銀時がわたしのことずっと好きだったってこと、」
晋ちゃんは、わたしの髪の毛をくるくると弄りながら、片方の手で首筋をなぞる。
「銀時がそうだっつーならそうだろうよ。
――で、お前はなんて答えたんだ?」
わたしの表情が強張ったことを晋ちゃんは見逃さなかった。
「銀時に"お前が好きなのは兄貴か"とでも聞かれたかァ…?」
「っ…」
「ククッ……アイツは昔からお前のことだけは勘がよかったからなァ…」
強張った表情で高杉を見上げるA。
その様子を見て愉しそうに笑っていた高杉だったが、Aの首筋をなぞっていた時に見つけた紅い痕を見て眉をひそめ、手を止める。
「まァ…Aは教えた通りに言えたよな?」
「………っ」
「悲しいモンだなァ…俺の言いつけは守れねえか。」
「ごめん、なさい。」
「A…」
首筋をなぞっている手はそのままに、ずっと髪の毛を弄っていた手が、顎に触れる。
聞いたことのないような冷たい声と、冷たく底を見るような晋ちゃんの目に、吸い込まれそうになる。
「どうした、の、晋ちゃん、なんか…」
と言うよりも…そこにいるのは誰?
「あァ…体調が悪いんだったか。じゃあ、手短に済ますか。
“A、俺のことが好きか?”」
「…好、きだよ。だって、お兄ちゃん、だもん」
「いい子だ、A。
――お前は、俺の命令を聞いて、俺に守られていればいい。
他の汚れたモノなど、その瞳に映すな。」
それは、命令か。それとも、懇願か。
はたまた――
「……は、い…」
震える唇で返事を紡ぐのがやっとのAの姿を満足気に見詰め、その唇に優しく口付ける高杉。
「祭も近ぇ…銀時によろしくな。」
"お前に何もかもを教えてきたのは誰だと思っている"
と諭すように。
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ユイ - 高杉のヤンデレ(果たしてこれはヤンデレ...だよな..?)は最高ですなああ立場反対でも妄想したら最高だわ (2022年12月3日 1時) (レス) @page44 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - 後ろから5行目の銀時って、桂の間違いじゃないですかね?? (2018年11月30日 1時) (レス) id: 6bc829527b (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - くれさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - メイビスさん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - カチカチ☆百足姫さん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2015年3月7日 17時