【銀魂】狂愛兄貴と嘘彼氏【高杉】【銀時】

面影ー過去編 ページ12

ーーー銀時side


『晋ちゃん、晋ちゃん！』

初めて顔を合わせた時から、Aは高杉と一緒に居た。


顔こそあまり似てはいないけど、紫がかった黒髪に同じ色の瞳、同じ名字、お互いだけにみせる表情。
誰もがすぐに兄妹だと分かった。

あまり感情を表に出さず、冷静沈着な高杉。だけど判断力も頭の回転も人並み優れている高杉。

対照的なわけじゃないが、Aはどちらかと言えば、そんな高杉に比べれば、至って普通。

喜ぶ時は両手を上げて笑うし、面白おかしい時は俺達と声を出して笑ったりもする。気持ち悪いものを見たら嫌そうな顔もするし、嫌いな人間が居る時は全く喋らない。

何が言いたいかって言うと、高杉より感情表現は豊かだってこと。

だけどいつか、ズラが言っていたんだ。




｢アイツは時々、高杉と同じで、無感情な人形のような顔をする時があるな。｣



高杉がそういう表情をする時なら、俺も嫌と言うほど知っている。アイツだけじゃなく、俺やズラも同じく、冷酷な判断をする時、高杉は決まってその顔をする。

だけどAがそれと同じようになるところは、想像が出来なかったし、人形という形容詞も引っ掛かる。


高杉は、無表情無感情な顔をすることはあっても、それを人形みたいだとは思ったことがなかったからだ。




でも…

その顔を、俺は見てしまったことがある。

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