第45話 ページ1
日が傾き始めた頃、
とぼとぼと行き付けの飲み屋に入った銀時は、今だ耳に残るAの言葉に胸が重くなり、店主の言葉にも上の空でいると、隣で同じく一人酒をしていた男に店主が声をかける。
「ちょっと聞いてくださいよ。この人ったらずっとこんな調子なんですよ」
「ほっといてくれ……、あ?」
銀時がグラスを片手に隣を見ると、
「は…?」
ガッチリ視線が交わる。
「万事屋か…チッ……嫌な奴に会っちまった」
「それはこっちの台詞だ!」
「知り合いなのかい?…せっかくなんだから色男の土方さんにアドバイスしてもらいなよ?」
銀時はムカっとした顔で自分のグラスを手に取り一気飲みすると「こんな奴の助言なんざいらねーよ」と今日初めて大きな声を上げた。
「…で、銀さんは何があってそんなヘコんでんの?」
「っせーな…フラられたんだよ!悪ぃーか!」
「ああ、いつも話をしてた沖田くんの妹の…」
「やめろぉぉぉ!」
ひたすら笑ってくる店主とは反対に、物言いたげにこちらを見てくる土方。
その姿に、「はァ」とため息を吐くと、
「今日、Aと会った。」
空になったグラスの中の氷をカラカラしながら、ポツリとつぶやいた。
「俺ぁアイツを本気で好きだし、アイツもちったあ心を開いてくれてると思ってた。けどさ、」
騒がしい飲み屋の中でも、土方の耳に届くのはいつもより幾分低い、銀時の声だった。
そして、
「駄目だった。俺なんか、全然入れてくれねェの。」
顔を上げた銀時が自嘲気味に笑うのを、土方はただじっと見詰めていたのだった。
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あつぽん(プロフ) - アルハさん» ありがとうございます!!!私としてもすごく思い入れのあるこの作品についてそういうコメントいただけるのはすごくうれしいです!これからもよろしくお願いしますね(*^_^*) (2016年12月7日 11時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 1から読みました!話に引き込まれていって凄く面白かったです!!最高!!! (2016年12月3日 14時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - みゅうさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - あつぽんさんの作品は全て読ませてもらっています!どれも面白くて大好きですっ!これからも頑張って下さいq(^-^q)応援しています(*´ω`*) (2016年8月2日 19時) (レス) id: ad4e56f403 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 月夜さん» おおおお!総悟&神威好きに出会えるとは!!わたしも大好きなので、喜びのあまりにやにやがとまりません(笑)実は私の作品、神威が活躍するの多いんですよ(笑)これからも楽しんでいただけると嬉しいです♪ (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年2月6日 10時