【銀魂】新訳 禁忌と欣喜【銀時】【沖田】【土方】

第15話 ページ17

「おら総悟。見廻り行くぞ」

「…待ってくだせェ、俺まだ昼飯食ってねーんでさァ」

「ギリギリまで遊んでたおめーが悪い。シャキッとしろシャキッと」

交代で回す市内見廻り。沖田は「昨日も夜遅くに帰ってきやがって…」とブツブツ言う土方に連れられパトカーへと乗り込んだ。

あ―…かったりーなァ…。何だって今日に限って嫌な奴と見廻りなんでィ…


元から機嫌が悪い上、パートナーが土方だときた。沖田は心の中で悪態をつきながらシートベルトを締める。頭の中は先程の事でいっぱいだった。


"おい、Aー…って、居ねぇのかよ"


昼飯を一緒に食べるため、Aの部屋を訪れるが見当たらない。


「そういえばアイツ早番だったか」なんて思ったときに、縁側で並んで談笑する旦那とA。

"ッ……、"

自分もそれなりに女遊びをしているし、Aも年頃なんだから当然と言えば当然。それなのになぜこんなに心がざわつくのか。



(…近藤さんは、解る。あの人の惚れっぽいのは今に始まった事じゃねーからな…わからねェのは、アイツだ。)


副隊長である責任感からか、周りに心配をかけないように気を張っているからか。
Aは、愛想はいいので皆から好かれているが、本音を見せたり甘えたりするようなことは少なかった。

(Aは、簡単に人に懐くような性格じゃねーし、ただ単に万事屋の旦那の腕に惚れ込んでるだけとは思えねー。)

極めつけに旦那の言葉…。

"俺、Aのことが好きなんだけど"


彼女の事なら何でも知っているような自負に近い認識がある分、こういうわけのわからなさに苛立つ。



しかし、自分がどうしてそこまでイライラするのか、考えるに至らない程には、彼はまだ子どもなのか。


むしろ、考えない事で、無意識に自己コントロールを図っているのかもしれない。

理解の限界を知っていながら、考えずにはいられないのが人というもの。

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