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第10話 ページ12

Aが部屋に戻ってしまうと、着流しのみを羽織って、水を飲む為に台所へ向かう。


「総悟、」

水を飲み終わって部屋に戻ろうかと思ったときに、後ろから聞こえてきた声。半ばうんざりしながら振り返る。


「土方さん、こんな遅くまでお疲れでさァ。」


「あァ…、ちょっといいか?」


「やっと眠るところなんですけどねィ…急ぎの用で?」

「Aのことだ。」


「Aの?…あいつがどうかしやしたか?」


どうせ仕事の話だろうと検討をつけていたので、少し驚いて答えると、低い声で話を続ける土方さん。


「総悟、Aはお前の部屋か?」

「いや…さっきまで居やしたが、もう自室に戻ってンじゃねェかと」

「ッ…そうか…、」


「回りくどい聞き方しねェで、単刀直入に聞いたらいいじゃねェですかィ。昼間の続きをしてたのか、って。」

「ッ…総悟…、お前なァ、」

あくまで事実のみを伝えたが、どういう状況を経てそうなったのか察した土方さんは声を荒げ、

「もうやめとけって、言ったろ…。」

そして、ただ表情を変えずに自分を見詰める俺の姿に、


「…お前らは兄妹じゃねェか。」


再び切なそうな表情で、絞り出すように続ける。

「くだらねェ…だからなんだってンでィ。もう寝まさァ…」


土方さんの隣をすぎようとすると、

「なァ、」

肩を掴まれる。

「まだ何か…?」


「総悟、Aのことも考えてやれよ。」


「…まるで、俺が無理矢理Aを抱いてるみたいじゃねェですかィ…」


責めるような口ぶりも、心配するような素振りも、

「そうじゃない…ただ、俺は、」

罪悪感を覚えているような表情も、全部が腹立たしい。だから、


「Aまで…浚ってくンですかィ、」


衝動的に出た、

「姉上が亡くなったら、今度はAまで、盗ってくつもりですかィ?」


俺の言葉に、一瞬、沈黙した土方さん。

「話ってのがそれだけなら、戻りまさァ…。」


静かになった台所には、俺が湯飲みを置く音が、自棄に響いた。

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あつぽん(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - これ面白すぎです (2016年8月23日 20時) (レス) id: 7a9606292a (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 蒼月さん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張って下さい♪ (2016年2月5日 17時) (レス) id: 5defdd12f1 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 高杉銀時さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていると言っていただけると、すごくテンション上がっちゃいますよー(*^O^*)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします ! (2016年1月12日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月4日 14時

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