【文スト】大好きな貴方に、手袋を買いに。【男主】

2-3　泳げないんだけどね ページ6

「Aはドライヤーは嫌いだったっけ」

『うん、何かあんまり好きじゃない。ていうか其の儘にしてても乾くじゃん』

どうやら普段から太宰が乾かしているようだ。
本人はどうでもいいと云うも、毎日太宰のお陰でAの髪は整っている。

「Aくんの髪、ツヤツヤで羨ましいです」

『え、何云ってんの！ 敦の髪だって』
「Aの髪触ってみたい？ 羨ましいの？ 敦くん？」

Aの言葉を遮ってにやにやと喋り始める太宰。

『俺の髪の毛はお前の所有物じゃない！』

「いいんですか？！」

『人の話聞いて敦？！』

何だかんだ云いつつ、触りたいなら触れば、と髪を敦の方に向けるが

「敦くん、ワンタッチ1万円ね」

手を伸ばしかけた敦の手がとてつもない速さで引っ込む。

「金取るんですか？！ 僕触ってないですよね？！」

金のことになれば途端に必死になるのが中島敦という男である。

『だから俺の髪なんだから太宰は関係ないでしょ？！』

「えー、Aの髪触れる権利は私だけがいい」

『駄目ですー。今日は敦に三つ編みしてもらうもんね！』

お前が最初に敦に触るかって話振ったんだろ、と云い敦の前に行く。

「おぉ……サラサラというか、ふわふわというか、何か感激！！」

『ほ、ほんと……？』

「……あ」

『ど、どうしたの敦……』

「そう云えば僕、三つ編みなんてやったことも無いし出来ない……」

『あれま、仕方ないね』

「なになに？ 私の出番？」

『露骨に嬉しそうにしないで欲しい！ ……出番だけど。
ま、敦、俺も自分で出来ないから気にしないでいいと思うよ』

「そうだ、今日は二つ、三つ編みする？」

『え、おさげってこと？ 其れなんか女の子みたいじゃん厭だよ』

「私にまかせ給え」

『絶対やめてよね？！』

後ろであれこれしていようがAに見えないのをいい事に太宰は髪を結っていく。

数分後、Aの怒声と悲鳴が探偵社に響いたのは云うまでもなかった。




〜〜〜
三つ編みを２つ作る髪型って何て呼ぶのですかね？

ずっと「おさげ」だと思ってたのですが三つ編みでなくても２つに結えば「おさげ」と呼ぶと先程知りました。

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