10-2 病床に臥す ページ42
『うん、敢えて分類するなら、"異能力"だろうね。
心配させてごめんね、こんな醜い姿じゃとても駄目だ』
「醜い姿?私には今の君の様子は声で伺うしか無いけれど、とても醜くなんかないさ。
…そろそろ、無理矢理にでも開けるよ。
それか、ドアを隔てて事細かに自分の口から病状を説明できるかい?」
それを聞いて、Aは黙ってしまった。
咳き込む音だけが、ドアの向こうから聞こえてくる。
『…………太宰は、きっと俺の話を聞いたら結果的にドアを開けてしまうと思うよ。
太宰は馬鹿だからね。こんな病人放っておけばいいのに』
「つまり……?」
開けても良いと言うこと?
疑問に思って居ると、暫くしてドアがAの小さい手首一つ分だけ開いて、何かを手渡された。
「これは?
……マスク、かい?」
『お願い、移っちゃわない様に、これを付けてからしか開けちゃ駄目』
見る限り、唯のマスクよりも何倍も細菌を取り入れなさそうなマスクだった。
「これは、どういう事だい?」
『……見ての通りだよ。N95っていうマスク』
N95マスク、ねえ……。
このマスクは名前の通り95%の粒子を防げるというマスク、と聞いたことがある。
『付けた?』
「ああ、開けてもいいかい?」
許可を貰ってそっとドアを開ける。
開けるなり、Aが私の胸に飛び込んでくる。
『太宰……っこんなにちょっとの間だったけど、俺……』
「寂しかった?」
普段言わないような「寂しい」なんて言葉、言えないで詰まるAに尋ねれば、そっと首肯される。
『驚かないで聞いて。
先ず、分かるだろうけど俺は病気なの、感染症ね』
そう言って、言葉に詰まるA。
無言でAの額に手を当てると、微熱の様だった。
「熱、あるんじゃない?取り敢えず横になってから話せばいい」
『……怠いから、出来れば運んで欲しいな……』
暫く続いている病気のせいで食欲も落ちたのか、以前よりも格段に体重が落ちているのが持ち上げただけでも分かった。
元から軽かったが、今ではまさに病的、だ。
しかも、数分に一回は咳き込んでいる。
『有難うね。……太宰には言いたくなかったんだけどね、俺の病名は____』
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霜月まぎか(プロフ) - 妃有栖さん» え、え、読んでくれただけで死ぬ程嬉しい有難う!!!私も書きながら泣いた(( (2018年1月10日 23時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
妃有栖(プロフ) - 読破遅くなってしまって申し訳ない……ちょっと真面目に泣いたんだけど……夢主くん最初はめちゃくちゃ可愛いショタだって思ってたら最後はもう……!涙出てきた……夢主くん辛いけど幸せだっただろうねぇ…… (2018年1月10日 22時) (レス) id: 6bd3aaf7a9 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - りつさん» 有難う御座います!現在進行系で読んでくださる方がいらして嬉しい限りです!頑張ります! (2017年12月9日 19時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!これからも応援してます! (2017年12月9日 11時) (レス) id: 9f104312a4 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - おこめりんぐさん» 有難う御座います!!え、凄い嬉しい…!!同じ受験生何ですね!頑張りましょ!応援とかコメとか本当に有難う御座いますうう (2017年11月27日 16時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
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