3-4 夏といえば?怪談大会!-百物語- ページ12
蝋燭を消した数は半分を越えた頃だろうか。
一人語っては、一つ蝋燭を消し……。
全員が何回か語り終え、既に数周目を迎えていた。
「却説、次は……えーっと……Aさんですわね!」
まだまだ飽き足らないナオミは元気一杯に次の語り手を促す。
「……ありゃ、A寝ちゃってる?」
「乱歩も寝てしまっているようだが」
もう話を、聞くことに退屈してきたのか、Aと乱歩はいつのまにやら肩を寄せ合ってすやすやと寝息をたてていた。
「あんなにはしゃいでましたもンね」
既に二週目あたりで飽き始めたAや乱歩は、蝋燭のある部屋にイタズラを仕掛けて遊び始める始末であった。
何処から持ってきたのか甚だ疑問だが、こんにゃくをドアの前に釣っておいたり。
部屋の床に冷えた鉄板が敷かれていたり。
次の人が引っ掛かって悲鳴をあげるのを愉しんでいたようだが、される人は不憫で仕方ない。
さらに、仕掛けに気付いた人はそのまま見ぬフリで返ってくるのでその後の人に被害が被ることも多く。
挙句には太宰や賢治もイタズラに参加し始める始末である。
「二人も寝てしまったみたいだけど、続ける? それとも」
言いかけた太宰に
「うわあああああああ!?」
蝋燭のある部屋から今日最強と言える悲鳴が響き渡った。
そして、全力疾走してくる敦の足音。
「だ、だだだだ太宰さん! 人を使うのは卑怯ですよ!!!」
かなり切羽詰った様子で太宰に畳み掛ける。
「人?」
「めちゃくちゃ睨まれたんですよ!!」
「え、っと、敦くん、何があったの?」
訳がわからない、という風に返す太宰を見て敦もはてなを浮かべる。
「え、あ、あんなに美人な人、連れてくるとしたら太宰さんだと思いこんじゃってました……」
「だから、何を見たんだい敦くん」
真面目な顔で敦に問う。
「あ、あの部屋から出ようとしたら凄く綺麗な黒髪の女の人が僕の肩を後ろから掴んできたんですよ……。
吃驚して振り向いたらすっごく睨まれてるというか……。
Aくんか、乱歩さんが連れてきたんですかね! それか、賢治くん?」
「いえ、僕じゃないですね!
綺麗なお姉さんが沢山いるのも都会の凄いところだと思います!」
「Aにはそんな知り合いはいないよ。私たち大体一緒にいるからそんな人が居たなら私が心中誘ってるだろうし」
「乱歩さんも流石にそんなこと迄するような方ではないだろう」
その言葉を聞いて敦は顔をサーッと青くしていく。
「え……?」
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霜月まぎか(プロフ) - 妃有栖さん» え、え、読んでくれただけで死ぬ程嬉しい有難う!!!私も書きながら泣いた(( (2018年1月10日 23時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
妃有栖(プロフ) - 読破遅くなってしまって申し訳ない……ちょっと真面目に泣いたんだけど……夢主くん最初はめちゃくちゃ可愛いショタだって思ってたら最後はもう……!涙出てきた……夢主くん辛いけど幸せだっただろうねぇ…… (2018年1月10日 22時) (レス) id: 6bd3aaf7a9 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - りつさん» 有難う御座います!現在進行系で読んでくださる方がいらして嬉しい限りです!頑張ります! (2017年12月9日 19時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!これからも応援してます! (2017年12月9日 11時) (レス) id: 9f104312a4 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - おこめりんぐさん» 有難う御座います!!え、凄い嬉しい…!!同じ受験生何ですね!頑張りましょ!応援とかコメとか本当に有難う御座いますうう (2017年11月27日 16時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
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