古代の軌跡 (ページ16)

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ケルディックに到着し、私たちはサラ教官に案内してもらってついた宿に荷物を置き、手配魔獣を討伐する依頼をしていた。

勿論始めての手配魔獣ということで、私は支援に徹することができるように魔導書のまま戦っていた。

魔獣に疲労の色が見え始め、そろそろか、と思っていた。

＿＿＿＿油断していた。

手配魔獣は最後の力を振り絞り、傷を負ったアリサを治癒する為アーツを唱えていたエリオットの元へと突進した。

勿論エリオットは目を閉じているので、こちらの様子など把握できるはずが無い。

「っ！？エリオット！前だ！」

リィンが呼びかけるが、
ラウラもリィンもアリサも、
エリオットと魔獣から離れているので、あと数秒でエリオットの元へとたどり着く魔獣にはとても追いつける筈が無い。

『ぐぅっ・・・！』
簡易の防護魔法を自分に掛け、エリオットと魔獣の間にギリギリ滑り込む。

魔獣は突然の乱入にも構わず此方に突進してくる。

自分に掛けた防護魔法と魔獣の腕がぶつかる、鈍い音がした。

しかしいくら急ぐとはいえ、簡易の防護魔法を掛けたのが間違いだった。

軽すぎる。そう悟った。
簡易の防護魔法なので、純粋な魔獣の力には勝てず、ミシミシ、と音を立てる。

「ティア！・・・ってロイ！？」

アリサへの回復アーツを掛け終えたエリオットが漸くこの状態に気づく。

＿＿＿そのことに気付いて少しでも気を緩めたのが敗因だった。

先程から音を立てていた防護魔法が砕け散った。

勿論魔獣の攻撃は私に当たる。
余程力を入れていたようで、私は簡単に吹き飛ばされた。
エリオットはすんでの所で身を屈めていたので、擦れ擦れの所で当たらなかった。

自分が飛ばされて居るというのに、周囲の状態がえらく目に入る。
魔獣の後ろからラウラが飛びかかる。
リィンはエリオットを連れて退避している。
アリサはリィンとエリオットに「こっちよ！」とリィン達の向かっている先で叫ぶ。

あー、これヘタしたら死ぬんじゃないのかな。

そう考えていると、自分の体が地面に打ち付けられるのを感じた。

余程強い衝撃だったのだろう、身体が動かない。
視界も霞んできた。
霞む視界で最後に見えたのは、魔獣を切り伏せたラウラと、此方に駆け寄るリィンだった。

あー、死ぬかも。身体が痛い。骨が折れたかヒビが入るかはしただろう。

ははっ、実習先で怪我するとか笑えない。

そう思いながら、もう何を言っているかすら分からないリィン達を見据え、意識を手放した。