古代の軌跡 (ページ11)

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ないん。ページ11

「ロイ。俺たちは、そんなに頼りないか？」
とリィンが聞いてくる。

『・・・それは・・・。』
「確かに、俺たちはまだ出会って1ヶ月も経っていない。
皆、周りからの反応を気にして秘密を打ち明けられない人もいる筈だ。
・・・でも、俺としては、他の皆にはまだ打ち明けて貰えなくても、他の皆よりほんの少しでも長くいたロイには、打ち明けて欲しいんだ。そうする事で、俺もロイの事を知れるし、ロイも話す決心がつくかな、と思ってさ。」

あぁもう、なんでこんなこっ恥ずかしい事をサラサラと言うんだ！
話さなきゃいけないみたいじゃん！
とロイは内心悪態を吐きつつ、リィンになら、という思いがあるのを知った。

『・・・ん。分かった。でもそれほどリィンは秘密が知りたいんだ～？』
「なっ！ち、ちがっ！」
あたふたと弁解するリィンをみてくすりと笑い、ロイは話し始めた。

私は、この時代の人間じゃあないんだ。別の時代からタイムスリップした、ともいうかな。

7年前、くらいかな？とある科学者達が、タイムスリップの実験をしたんだ。失敗した、と皆思ってるらしいけど、実は成功してた。[別の時代の人間をこっちに転移させてた]んだ。

私たちの一族は最初はかなりパニクったよ。いきなり知らない場所にいたからね。
落ち着いた頃、皆で細々と暮らしてた。森の中だったから、見つかる事もなかったし。でも、悲劇はすぐそこだった。

猟兵が、私達の住処に火を付けたんだ。多分隠れ家にした森に全く他と違う暮らし方をする私達を見つけて恐怖したんだと思う。

村の外に出ていた私を除いて、皆死んだ。そのあとは、無我夢中に走って、テキトーに盗みとかして暮らしてた。
その時にヴァンダイク学院長にあって、トールズに連れて来られた。
こんなとこかな。

と話し終えたロイを、リィンは思わず抱きしめた。幼い時に散々な目にあったロイの悲しみを少しでも和らげようと。

ロイはリィンに抱きしめられたまま声を殺して泣いていた。