12.親愛 ページ15
「…その、貴方にはもうマシュがいるのに、自分がいつまでも唯一無二の味方だと思いこんでいたの。そのことをギルガメッシュに指摘されて、それで」
「嫉妬したの?姉さん」
Aは気を抜けば立香の瞳に吸い込まれてしまうような気がして、思わず後ずさる。だが、立香の瞳の光は消えることはなかった。
「…そうかもしれないわ。こんなこと、今までなくて、不安だったの。それだけよ…ごめんなさい。いつまで経っても頼れる姉になれなくて」
Aは耐えきれなくなって目を伏せた。彼女のよくする癖のひとつだ。立香は大人ぶっている姉も嫌いではなかったが、それよりもこうやって自分には躊躇いなく見せる姉の弱さが好きだった。無垢な姉にこの暗い感情を悟られたくなくて、立香は目を細めるのみに留めた。
「そっか…でも大丈夫。姉さんがこうやってちゃんと言ってくれただけで、結構嬉しいんだよ、僕。姉さんは何でも秘密にしちゃうから」
自分で言わせておいて、何を言うか。立香は自分の浅ましさに呆れ返った。
「そんな…いや、そうね。…私、今からギルガメッシュに謝ってくるわ。踏ん切りがやっと着いた。貴方が話を聞いてくれて、よかったわ」
「お役に立てて何より。このカルデアでは喧嘩はご法度だからね。姉さんの剣幕にジャックやらナーサリーが驚いてすごく心配していたよ」
おどけて片目を瞑る立香は中々様になっていて、清姫や玉藻の前が彼に首ったけなのも頷ける。Aはそんな柄にもないことを考えたが、部屋を出た時にはもうギルガメッシュに何と言おうか、とそればかりを思案していた。
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立香くんとAさんの姉弟愛は偏愛気味に描きたいのですが、中々難しいですね。
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桃苺紅茶@虹色palette(プロフ) - とっても面白かったです…!ぐだ男くんの小説ってほんとに少ないので…凄く引き込まれるような内容で、何度も繰り返し見てますw更新待ってます! (2021年9月9日 18時) (レス) id: 4935a83b89 (このIDを非表示/違反報告)
十朱(プロフ) - 焼きまんじゅうさん» コメントありがとうございます!ぐだ男くん個人的にとっても好きなので夢主とは分けてしまいました笑 (2018年8月19日 19時) (レス) id: 980373f16e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - 待ってました久々の更新……!夢主が居ると同時にぐだが存在する小説は希少価値が高いので、ぜひ終幕まで御付き合いさせて下さい〜♪ (2018年8月19日 19時) (レス) id: 18ac062503 (このIDを非表示/違反報告)
十朱(プロフ) - 夜@依存症さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです。 (2018年1月14日 11時) (レス) id: eb51e53d41 (このIDを非表示/違反報告)
夜@依存症(プロフ) - 文章が流れるように綺麗で、とても読みやすくて面白いです!これからの展開が気になります(*´∀`*) (2018年1月14日 2時) (レス) id: 88ca4eb684 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十朱 | 作成日時:2017年5月23日 1時