thirty - first ページ31
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私は昔、ミツバちゃんに拾われた。
親にも捨てられた身よりもない私を拾ってくれた。
「 私はミツバよ。貴方は・・・―――?」
「 A。」
無愛想に答える。他人への恐怖心のあまりに怯えてしまった。
名字もあるが、両親と同じ名前になると思うだけで寒気が走ったため、何も言わなかった。
「 Aちゃんね、これから宜しくね。」
少し会釈をして、私は俯いた。彼女は笑顔を絶やさずに私に話しかけてくれた。その内、段々と心を開いて行った。
「 そーちゃんを紹介するわ。私の弟なの。」
「 そーちゃん?」
ミツバちゃんとは夕方まで話し続け、ミツバちゃんには弟がいることを聞いた。私と同い年だそう。
「 この間はそーちゃんや十四郎さんも一緒に皆でご飯を食べたのよ。」
「 そーちゃんは優しくていい子で、家に帰ったら絶対に玄関に迎えに来てくれるの。」
ミツバちゃんの話を聞く限り、多分、彼女は十四郎さんという人が好きなのだろう。無論、恋愛的な意味で。そーちゃんという人は家族として大切なんだと思う。
(・・・家族って温かいな。)
自分は味わったことがないが何となく、そう思えた。
そのまま歩きながら帰ると昔っぽい家に着いていた。ミツバちゃんが玄関をあけて一言いうと、誰かが走ってきた。
「 姉上っ!!!おかえりなさい!」
玄関に入り、縁側からドタバタとやって来たのはミツバちゃんが話してたそーちゃんという人だった。
「 あら、そーちゃん。彼女はAちゃん。これからうちに居候するのよ。仲良くしてあげてね。」
「 分かりやしたっ!」
と、いい返事をした彼だったが、私を見る目が明らかに冷たく、敵意を抱かれているようだった。
「 宜しくお願いします。」
ペコリと頭を下げると、彼は気に食わなさそうに、無愛想に返事をした。
・
これが私と彼との出会い。
・
▷▶▷ A
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ちゃむ(プロフ) - ルーミエさん» ありがとうございます!コメントを頂けるだけでこれからまた更新頑張れますっ!見させてもらいますね。有難うございます。 (2017年8月18日 12時) (レス) id: 595d5740d4 (このIDを非表示/違反報告)
ルーミエ(プロフ) - すごく面白いです。これからも頑張ってください!よかったら、私の作品も読んでください! (2017年8月17日 2時) (レス) id: 428e92d725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃむ | 作成日時:2017年8月11日 20時