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Aが初めて弱音を吐いた。誰にも頼らずに自分で何でもやっちまうような、背負っちまうようなコイツが。
聞こえた声は掠れていて、しかも少し涙ぐんだような堪えているようなそんな声。
俺は体の向きを変えてAの方を見た。
そこには今まで見たことのないような悲しそうな顔をしているソイツがいた。
「 ・・・―――そうか。」
「 お、驚か・・・ないの?」
「 あァ。」
「 な、何で?」
Aの方が少し焦っているように見える。
「 実は、お前らが甘味処で話してる後ろに座ってたんだ。そこで話を聞いちまった。すまねェ。」
「 そうなんだ・・・―――。」
納得したような不満足そうな顔をする。
多分、どこまで知られてっかが怖いんだろうな。
「 何処から聞いてたの。」
「 Aがトイレに行くまで。」
「 あ、結構早いんだ。もっと、最後まで聞いてたかと思ったよ。」
「 あのー、多串くんにバレてな。追い出されたんだよ。先に食いに来たんは俺なのに。」
ホットしたような顔を見せたA。
俺は何でも知ってそうに見えて実は何も知らない。なんてファンタジーなお話はないんだか、今回ばかりは本当にしらない。
これだけ回りくどい言い方をしてこれは無いが、アイツが何で死ぬんかも、それすらも知らねェ。
万事屋だから調べることも出来るが、身近な女のプライベートを探るのは男としてどうかと思って、留まったんだ。
(・・・Aにかけるしかねぇ。)
「 なんで死ぬのか、お前の過去も全部ひっくるめて教えてくれないか。図々しいのは分かってらァ。でも俺はどんなお前でも受け入れる。だから言ってくれ、A。」
Aは険しい顔をした。いつもは笑ってたりポーカーフェイスなAとは違い、酷く動揺したような顔。
「 なんで、なんで貴方は・・・―――。」
頭を抱えながらそう言いかけて止めた。続きは聞きたかったがコイツの過去に入る訳にはいかねェ。
「・・・いいよ。話してあげる。」
待ちに待ったその言葉が俺の耳に確かに残った。
▷▶▷ A
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ちゃむ(プロフ) - ルーミエさん» ありがとうございます!コメントを頂けるだけでこれからまた更新頑張れますっ!見させてもらいますね。有難うございます。 (2017年8月18日 12時) (レス) id: 595d5740d4 (このIDを非表示/違反報告)
ルーミエ(プロフ) - すごく面白いです。これからも頑張ってください!よかったら、私の作品も読んでください! (2017年8月17日 2時) (レス) id: 428e92d725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃむ | 作成日時:2017年8月11日 20時