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...
チュンチュン
鳥のさえずりで目が覚める。窓から差し込む光が眩しい。目覚ましなんてものは用意して無くて、隣にはまだ暖かい感覚が残っていた。
( ・・・―――帰ったんだ、総悟。)
温かみの残ったシーツからは先程まで彼がここにいたことが分かる。そう言えば昨日、疲れているような表情をしていたが大丈夫だろうか。
こんな状況じゃなければ彼を支えてあげられたのに。自分は無力だと改めて感じてしまう。
朝の面会時間の前に検査がある。検査をする度にこれと無い不安が襲ってくる。
「 Aさん。検査のお時間です。」
「 はーい。」
気持ちを切り替え明るい気持ちで検査に挑もうとするが怖いものは怖い。
「 良くなってきてますよ。昨日のは発作ですね、またこういう事があるかもしれないのでその時はちゃんとナースコールをおして――。」
また長ったらしい説明が始まる。
本当に治らないなら治らないと言ってもらわないと困ってしまう。
「 分かりました。有難うございます。」
ガラガラとドアを閉めて部屋に戻る。
渡されたこの10粒の薬は一体何を表しているのか私には分からなかった。
・・・―――日記でも書こう。
毎日付けようと思っているこの日記。
たまにつけ忘れるけど一応毎日付けているつもりだ。
〇月 〇日 〇曜日
そう書いて一度ペンを止める。昨日のことが一気にフラッシュバックしてきて急に顔が赤くなる。
唇を人差し指でなぞってまた熱があることが鮮明に分かった。
(・・・昨日、キスしちゃったんだ。)
総悟とは武州時代も付き合っていたが兄妹の様だったからキスなんてのは・・・一度しかしたこと無かった。だからキスって言うのは凄く久しぶりな感じがする。
「 あーもう大好きっ!!!」
ベットに寝転び、枕を抱えて足をバタバタさせる。今のところそこまで体調は悪くなくて点滴も朝だけで終わった。
多分私は今は恋する女子高生並だろう。
余韻に浸っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
▷▶▷ A
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ちゃむ(プロフ) - ルーミエさん» ありがとうございます!コメントを頂けるだけでこれからまた更新頑張れますっ!見させてもらいますね。有難うございます。 (2017年8月18日 12時) (レス) id: 595d5740d4 (このIDを非表示/違反報告)
ルーミエ(プロフ) - すごく面白いです。これからも頑張ってください!よかったら、私の作品も読んでください! (2017年8月17日 2時) (レス) id: 428e92d725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃむ | 作成日時:2017年8月11日 20時