fourteen ページ14
...
数分間抱きしめあった。
お互いに離れて総悟は私の涙を拭った。
空はもう真っ暗になっていて面会時間は終了しているんじゃないかと思ったが総悟と居られるならそれでもいいと思い、口には出さなかった。
「 大丈夫なんですかィ？その盲腸とやらは」
( ･･･―――盲腸？？)
「 うん。もう大丈夫だと思うよ。でもまだ様子見をしなくちゃダメだから入院が必要かもしれない。」
そう言うと総悟はふわっと笑ってホットしたような顔をした。多分盲腸と言ってくれたのは銀さんだろう。
( ･･･最低な嘘をついてごめんね。)
心の中で総悟に謝る。私が総悟を縛り付けていて、"私"という存在が総悟を苦しめてしまっているのは知ってる。
最後の最後まできっと私は我儘だ。
「 ごめんね。」
伝わらないであろう謝罪の言葉を並べる。
本当の意味は秘密にして。
「 謝ることなんてないでさァ。」
「 そっか。ありがとう。」
そしてお互いに見つめあって唇と唇がゆっくりと触れ合った。久しぶりに触れた唇はなんだか熱くて、前よりも緊張した。
「 早く遊びやしょうね。」
「 うん。そうだね。」
･･･―――出来たらだけど。
銀さんが盲腸と言ったのは嘘だ。総悟やほかの人を焦らせないための嘘。もしもの時の保険で予め頼んでおいた。神楽にも最後まで嘘をつき続けなければならない。
動揺をしたことはバレていないだろうか。
総悟に嘘をつくのは罪悪感しか感じない。でも、これも彼が幸せになるため。
でも、もし彼が私が居なくなった後に
素敵な女性に出会って、素敵な恋をして
付き合って、結婚して、
子供を産んで、笑顔が絶えない家族になる。
そうなったと考えると私は素直に総悟の幸せを願えるのだろうか。
否、願えない。
総悟の隣は私が良い。
そんな叶わない願いは泡のように消えた。
▷▶▷ A
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ちゃむ(プロフ) - ルーミエさん» ありがとうございます！コメントを頂けるだけでこれからまた更新頑張れますっ！見させてもらいますね。有難うございます。 (2017年8月18日 12時) (
レス) id: 595d5740d4 (このIDを非表示/違反報告)
ルーミエ(プロフ) - すごく面白いです。これからも頑張ってください！よかったら、私の作品も読んでください！ (2017年8月17日 2時) (レス) id: 428e92d725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃむ | 作成日時：2017年8月11日 20時
