twelfth ページ12
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病院の前で一息ついて入る。
ツンとした病院特有の匂いが鼻をかすめる。
隊服からは汗の匂いが入り交じり、部屋に聞いている暖房で暖かみもありながら少し暑く感じた。
パタパタと手を振りながらAの病室へと足を早めた。Aの顔が早く見たくて少し乱暴にドアを開ける。
「 Aッ!!!」
ドアを開けた先にはベットの上で横たわっている彼女を発見した。その側には見知った天パの男。
「 どういう事でィ、旦那。」
「 そのまんまだよ。」
旦那は遠くを見つめたようにそう述べた。
「 Aなんでここにいるですかィ、何でって聞いてるんでさァ!!!」
俺の中の何かが切れて、旦那の胸ぐらを掴んだ。こんな事をしても意味が無いと分かっていても、そうせざる負えなかった。
「 そう怒るな。Aはただ寝てるだけだ。」
旦那が俺を宥め、一瞬我に返って手を離す。
「 すいやせん。旦那。」
「 大丈夫だ。自分の女がいきなり倒れていたら誰だって挙動不審になるさ。」
旦那が俺を励まして、俺の頭をポンポンと撫でる。それは近藤さんに昔やられたように優しく暖かい手だった。
「 ありがとうございやす。それで旦那、なんでAはここに居るんでィ?」
「 あぁー、これはアレだ。盲腸とやらになったんだこいつ。だから今手術して寝てるだけ。」
ポリポリと頭を掻きながら気怠そうにそう答えた。
「 そうですかィ。」
「 まぁ、そういう事だ。ちゃんとそばに居てやれよ。」
「 分かってまさァ。」
そう言うと旦那はこちらを見ずに手だけヒラヒラと振って帰って言ってしまった。
病室に俺とAが2人きりで、未だ目の覚めないそいつを見つめる。
ぷっくらとした赤い唇。夜兎とは違う透き通った真っ白な肌。長く伸びた睫毛。ふわっとして柔らかい髪の毛。
全てが愛おしい。
彼女の手を握ってそのまま寝てしまった。
▷▶▷ A
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ちゃむ(プロフ) - ルーミエさん» ありがとうございます!コメントを頂けるだけでこれからまた更新頑張れますっ!見させてもらいますね。有難うございます。 (2017年8月18日 12時) (レス) id: 595d5740d4 (このIDを非表示/違反報告)
ルーミエ(プロフ) - すごく面白いです。これからも頑張ってください!よかったら、私の作品も読んでください! (2017年8月17日 2時) (レス) id: 428e92d725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃむ | 作成日時:2017年8月11日 20時