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87、敵対心の消えた彼 ページ37





「…あんたともっと早く出会いたかったぜ。」




そう言い残して薬研くんは部屋を出ていった。

心臓の音が煩い。
まるで耳元で鳴っているかのようだ。



さっきの薬研くんの話を聞いて私はある仮説に行き着いていた。


昨晩の出来事について。


光忠さんは私の部屋に来て、私を襲おうとした。
でも思い返してみれば自分の欲を満たすだけの触れ方じゃなかったような気がする。
染み付いた感覚でそれだけは識別できた。


じゃあ目的はなんだったのか。



「手入れ…?」



もしも手入れが目的で私に体を売ろうとしていたのなら…。

光忠さんはどこかに早急に手入れが必要な怪我を抱えていて、手入れのために仕方なく私の元へやってきたのではないだろうか。

もしそうだとしたなら…

私に体を売ることが出来なかった今、手入れをしてもらえないと思って絶望しているのではないか。


「光忠さんは今、どこにいるんだろう。」
「燭台切が気になるか。」


声に驚いて振り向くとそこにはこの本丸の先導者、三日月宗近さんがいた。

凛と立つその姿は気高く美しい。


でも私はこの人が少し苦手だった。
彼が私に向ける視線にはいつも溢れんばかりの敵対心が伺えるから。



けれど何故だろう。
今は敵対心を感じない。



「燭台切なら今、部屋にいる。だが燭台切の元へ行く前に、少し俺に時間をくれぬか?
お主に聞きたいことと…聞いて欲しいことがある。」


ここで話すのもなんだ、茶でも呑みながら話そう


そう誘われて私は彼の後をついて行く。
少しだけ、彼の様子に胸騒ぎを覚えた。





ーーーーーーーーーーー

薬研藤四郎side




「泉ー、兄弟達連れてきたぜー。」


朝餉を食べたあと、兄弟を連れて手入れ部屋に行くとそこに泉の姿は無かった。


「あの人間はどこです?逃げたんでしょうか?」
「そういうわけじゃ無さそうだぜ、平野。
見ろ、手入れの用意は完璧だ。」


手入れ部屋の式神達がパタパタと駆け寄ってくる。
手入れする気満々の式神達を制止して尋ねた。


「泉がどこに行ったか知らないか?」


“三日月宗近と一緒です”
“お茶です”
“大事なお話するです”


三日月の旦那に連れ出されたってことか。

いつも朝餉の後にのんびり茶を呑んでいるじいさんが今日はやけに早く立ち去ったと思ったら、そういう訳だったのか。


ーーーーーーーーーーーーーーー


投稿ぎりぎりセーフです笑
遅くなりました!

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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます!修正します! (2019年8月2日 10時) (レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません!沖田君は、一番組組長だと思います! (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫水 | 作成日時:2019年6月8日 8時

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