88、怯えて ページ38
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薬研藤四郎side
俺っちの見る限りでは、三日月の旦那は泉のことを良く思ってない。
泉だってそれは分かっているはずだ。
そんな相手と二人きりになるなんて、ちょっと危険じゃないのか？
「あっ…泉さん…」
五虎退の言葉に振り返ると中庭を挟んでむこう側に連れ立って歩く二人の姿が見えた。
三日月の旦那は確か一人部屋を与えられてたはずだ。
そしてその部屋には日当たりのいい縁側がある。
茶を呑むならきっとそこに行くのだろう。
本当に茶を呑むのが目的なのならば、な。
幸いここに居るのは俺っちを含め、偵察と隠蔽のうまいやつばかりだ。
旦那には悪いが後をつけさせてもらおう。
泉のためだ。
兄弟達にその旨を伝えると皆賛成してくれた。
中には博多とか包丁みたいに野次馬根性のやつもいたけどな。
「行くぞ。」
声をかけるのと同時に目の前の弟達から気配が消える。
こんな幼い見た目をしていてもやっぱり刀剣男士。
戦に生きる男達なのだと実感させられる。
気配を消したまま二人のあとをついていった。
「薬研兄さん、あれ…」
前田に言われてそちらを向くと、2人にコソコソと近付く人影があった。
あれは…
「加州の旦那じゃねぇか？何やってんだ…？」
加州の旦那は足音を消して近寄って行った。
後ろから脅かすつもりだろうか。
「いーずみちゃん！！」
やっぱり。予想通りだ。
泉に後ろから抱きついていた。
加州の旦那もあんなに仲良くなっていたんだな。
だが、予想外だったのはここからだった。
「きゃっ！！」
抱きつかれた泉が崩れ落ちた。
腰が抜けたみたいに床にへたり込んでしまったのだ。
「そんなにびっくりしなくて…も…」
振り返った泉の顔を見た加州の旦那は言葉を失った。
俺っちも驚かずには居られなかった。
泉は、怯えていた。
焦点の定まらない目で加州の旦那を見て怯え、尻もちを着いたまま少し後ずさった。
そこで初めて加州の旦那であったことを認識したようで少しバツの悪そうな顔をした。
「清光くんかぁー、びっくりした。」
何事も無かったかのようにへらりと笑うが、加州の旦那は何も言葉を返せない。
怯えられたことがショックだったのだろう。
泉も泉で足の力が抜けてしまったようで立ち上がれずにいた。
不意に三日月の旦那が泉を横抱きに抱え上げる。
泉がぎゅっ、と自分の体を抱きしめた。
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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます！修正します！ (2019年8月2日 10時) (
レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません！沖田君は、一番組組長だと思います！ (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫水 | 作成日時：2019年6月8日 8時
