70、何度でも ページ20
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「会って間もないのに何を言うか、と思うたか？」
「い、いえ…」
「はっはっは！！結構結構！
何度裏切られても、何度見放されても、信じる。
わしはそういう男の刀ぜよ！」
そう言って笑う姿は、眩しいほど凛々しくて
元の持ち主さんは坂本龍馬だったりして
なんて、そんなことを思った。
「人間のお嬢さん、ちょっといいかい？」
隣の障子がスススと開いた。
顔を出したのはクリーム色の髪の細身の男の人だ。
力なく座り込んでいる彼の目線に合わせて私もしゃがみ込んだ。
「弟の…名前は忘れたけど、弟を助けて欲しいんだ。」
そういう彼も額に頬に、見えるところだけでもたくさんの傷が着いている。
緩慢な動きで視線を向けた先には…
「…っ！！」
意識なく横たわる薄緑色の髪の男の人がいた。
素人目で見てもわかる。
一刻も早く手入れをしないと！！
「弟は…俺を庇って…頼むよ…弟を…」
「大丈夫。きっと治してみせます。」
傷の痛みからか、熱に浮かされたように繰り返すお兄さんの方の刀にしっかり声をかける。
安心したように笑うとお兄さんも体の力が抜けた。
「あれ…力が抜けてしまったよ…」
「泉！おまんはそのまま髭切に肩を貸して手入れ部屋に連れて行ってやってくれ！わしは…ッ膝丸を抱えて連れていく！」
そういう陸奥守さんの脇腹に大きな赤い染みがあることに気がついた。心做しか片足を引きずっているようにも見える。
「陸奥守さんはお兄さんの方をお願いします。」
「なっ！それでおまんが意識のない膝丸を運ぶがか！？無理ぜよ！」
「陸奥守さんこそ、その怪我では彼を運ぶことは出来ないでしょう。」
言葉に詰まった陸奥守さんに笑いかける。
安心して貰えるように、信じて貰えるように。
やがて観念したように陸奥守さんが頷いた。
「髭切、行くぜよ。」
「…あぁ…すまないね…」
お兄さんに肩を貸して陸奥守さんが立ち上がる。
気にするようにこちらを一瞥すると、ゆっくりと立ち去った。
お兄さんから目を切ると弟さんを見遣る。
服は盛大に破けて血が滲んでいる。
顔は青白く、呼吸も浅かった。
このまま運ぶのは危険だ。
「少しだけ…失礼します。」
冷たい手を取る。
両手で握りこんで霊力を流した。
彼の傷が癒えますように
少しずつ掌に温かみが戻ってくるのを確認して目を開く。
続きは手入れ部屋で、だ。
「貴方を手入れ部屋まで運びます。
どうか気を強くもって。」
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紫水(プロフ) - ルナさん» うわぁほんとだ。コメントありがとうございます！修正します！ (2019年8月2日 10時) (
レス) id: aa0c16ca22 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - コメントすみません！沖田君は、一番組組長だと思います！ (2019年7月25日 9時) (レス) id: 3371ec9e8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫水 | 作成日時：2019年6月8日 8時
