【第２章:４話 束の間の時間】 ページ15
――――日が傾き始めた夕暮れ。
スバルは、大柄な老人――ロム爺に盗品蔵へと招き入れられていた。
「ロム爺、コーンポタージュを全部やるとは言ってねぇのに……あ〜あ」
お近づきの印に、と渡した菓子を奪い取ってみれば、袋の中身は数える程しか残っていない。手遅れの状態に肩をすくめるスバル。
「複製魔法でも依頼すれば増やす事は可能じゃないかの」
……本人は、スバルの露知らず気楽に笑っていた。だが、先刻、片腕と喉を切られ物言わぬ躯となっていたのを見た。だが、今こうして生きている。
改めて、辺りを見回しても、あの悲劇の跡は一切感じられなかった。
サテラやAが重症を負い、スバルも命の危機に瀕した時の事が、夢だと言うのか。
架空の世界にしては現実的すぎて、血溜まりに沈む２人の姿が頭から離れない。
「小僧、そんなにフェルトが待ち遠しいか」
「は…？」
思わぬ言葉が飛び出た事に、目が点になる。
確かに、手に入れられるかは別として、記章を買い取りたい事はロム爺に話をつけた。
今は、フェルトを待っているだけ。
それなのに、何がどうなってそうなったのか。さっぱり検討つかなかった。
「まさか、小僧…フェルトを狙って？」
「だああっ！違うからッ！」
可笑しな方向に思考を進めていくロム爺に、待ったをかける。
「ならば、そわそわして何処か落ち着きないのは何故じゃ」
「そんなんじゃ―――……」
否定の言葉を呑み込み、混み上がって来た言葉を口に出す。果物屋で気が付いてから、ずっと探していた二人(と一匹)の事を。
「爺さん、銀髪の女の子と黄緑の髪の女知らない？」
「知らんな。銀髪など、良くも悪くも忘れられん」
首を左右に振ったロム爺。そして、今までより低い声色で、こう続けた。
―――――"黄緑の髪"と言ったか？「あの」騎士と知り合いになれるなんて、凄いの。儂には真似出来ん。
【第２章:５話 フェルト】→←【第２章:３話 路地裏の男達】
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玲紋。 - 面白いです！読んでいて楽しいです！先が気になります。更新、頑張ってくださいね！ (2017年2月1日 19時) (
レス) id: 717061f029 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - ラキさん» すみません…現実の生活と小説を書く事の両立が難しくなっていまして本当に申し訳ないです。迷惑をおかけしますが気長にお待ち下さい。 (2017年1月30日 21時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
ラキ - 最近更新してませんねー (2017年1月29日 22時) (レス) id: e83b796b67 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - 飾華さん» 最高とまで言って下さり有難う御座いました！更新遅くなってすみません！なるべく出来るように頑張ります (2016年10月18日 22時) (レス) id: 050b98d021 (このIDを非表示/違反報告)
飾華 - もう最ッ高です！次の展開が楽しみすぎる (2016年10月18日 17時) (レス) id: 7cff2cbe6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁風の夢 | 作成日時：2016年6月3日 21時
