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『“あ もしもし、てっちゃん?”』
「んー」
『“……寝起き?”』
「んー…よくわかったな」
『“眠そうだもん”』
くすくすと笑う彼女の声を聞きながら、寝起きのぼーっとする頭を何とか働かせる。
“起きてるー?”と声を張る彼女に、脈絡なく“おかえり”と呟くとふふふっと楽しそうに笑われた。
『“んふふ、ただいまぁ”』
「ん…」
その柔らかな声に、さっきまで見てた幸せな夢を思い出す。
……一緒に出掛けて、人混みとか気にせずにブラついて、おんなじ家に帰ってくる夢。
この子と同じ家に帰れたらいいのに、なんて。
今言ったら100%拒否されるであろう言葉が頭を過る。
主な移動手段が車な俺と、電車通勤なA。
定期的に会うと言えばメンバーくらいで人混みを避けられる俺と、会社で毎日沢山の人と顔を合わせなくちゃいけないA。
感染拡大を防ぐために…というかリスクの低い俺にうつさないために、会わなくなるのはしょうがないことだけど。
……分かっとるけど、寂しくて。
「……A」
『“何〜 まだ眠そうやね?”』
「会いたい」
『“……てっちゃん、”』
俺の言葉に、ぐっと息を呑む彼女。
困らせてんのは分かっとるけど…会いたいから。
飛び出してしまった言葉を“何でもない”と誤魔化す前に、ぱっと思い浮かんだ案にバチリと目が覚めて。
一気に脳みそが覚醒して“ああ!!”と叫んでしまった。
『“わっ、もう!なにぃ”』
「この時だからこその、デート!しよ!」
『“えっ?”』
「用意しとくわ」
“何!?”って不安そうなAを宥めて、問い詰められる前に“明日も仕事頑張れ”なんていういつものヤツで電話を切る。
「うわ、もう…もっと早く思いつきゃよかった……!」
そう吐き捨てて、週末までに届くように“あるもの”を探しにネット上を彷徨った。
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遊馬(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 誕生日にUPが間に合ってよかったと一安心しております。おめでたい!!そしていつもご愛読有難うございます…!深夜0時にもかかわらず、一番で評価・お気に入り・コメント頂けてとても嬉しいです。更新はゆっくりになりそうですが今後とも宜しくお願いします(笑) (2020年10月30日 14時) (レス) id: 292e8772db (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 第1評価&お気に入り(多分)はいただきましたっ!!!新作…しかも橙さん……嬉しすぎます!!!お誕生日もおめでたいですね!更新、楽しみにしております!!!!! (2020年10月30日 0時) (レス) id: 294927c63e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年10月30日 0時