電話 ページ48
あれから、さらに2週間経った。和田さんが地方に行って約1ヶ月経つ。
優華にも背中を押されたので前に進もうと、とりあえず和田さんのメッセージ画面を開いている…が。
やっぱり忙しいよね…今日休演日っていうのはわかってるんだけど…。
そう、私はメッセージを送るかどうかで悩んでいた。電話は私の中でハードルが高くて断念。
何回も言葉を紡いではほどく、をかれこれ10分続けている。これはいくらなんでも臆病すぎるかな。でも最初ってなんて送れば…?久しぶりでどんな会話をしていたか思い出せない。
……やっぱり今日は送らないでおこうかな。疲れているだろうし。
そして踏ん切りをつけようとラインを閉じた瞬間。
画面が急に切り替わってライン電話がかかってきた。真ん中に出ている文字は和田雅成の文字。
その文字に心臓が大きな音を立てた。それをきっかけに忙しなく鼓動が私のなかに鳴り響く。
少し震える手で画面をスライドした。
「も、もしもし…?」
『…もしもし?久しぶり!』
聞こえてきた声に私の口はゆるゆるになった。
「お久しぶりです。公演お疲れ様です」
『Aさんもお仕事お疲れさま!』
「…どうしたんですか?電話、ビックリしました」
『……いや、用は特にないんやけど、なんか無性にAさんの声聞きたくなって』
「え…」
和田さんも私と同じように思ってくれていたことに嬉しさを隠せない。
「ほんとですか…?」
『Aさんは?』
「……私も、早く会いたいなって思ってました」
『よかった。今度は俺だけやなかった。俺も会いたいわ』
…私たち付き合ってないんだよな。って思うほどにカップルみたいな会話してるって思ってしまった。恥ずかしいけどすごく嬉しい。
「和田さんが帰ってきたら、会えませんか?」
『えっ、ええね!会お!!』
「でも疲れているでしょうし、お忙しくないですか?」
「そんなん逆に癒しになるから大丈夫やって!暇は作る!」
はははって和田さんが笑う。
急に和田さんの電話口から違う人の声が聞こえた。
『あっ、誰と電話してんの!もしかして彼女とか!?』
…誰だろう?
『なっ!何いってんねん!はずかしいわーはよどっか行け!付き合ってる人なんていないわ!友達や友達!』
『えー!なんか照れてるー!あやしい〜!』
そんな会話が聞こえて思わず笑ってしまった。
『Aさん!笑わんといて!』
「仲いいですね。どなたですか?」
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もも(プロフ) - 返信ありがとうございます!!! いえーーーい!お待ちしてましたーー!!!笑 (2018年7月9日 6時) (レス) id: d113db31be (このIDを非表示/違反報告)
あいす(プロフ) - ビビ美さん» ビビ美さん、はじめまして!読んでいただき、また読み返していただき、ありがとうございます!続編も早めに出したいと思ってますのでこれからもよろしくお願いします。私は北在住なので、涼しい方です。ビビ美さんこそお体ご自愛なさってくださいね。 (2018年7月9日 0時) (レス) id: dc07f22dbf (このIDを非表示/違反報告)
ビビ美 - これから展開が一気に広がるとのこと、更新が待ち遠しくて仕方ありません。毎日暑いですがお体に気をつけて執筆活動なさってください。毎日読み返します..! (2018年7月8日 18時) (レス) id: 9ea1c3fba9 (このIDを非表示/違反報告)
ビビ美 - あいす様。初めてコメントさせていただきます!先月にこちらのサイトを発見してから先が気になって一気に読んでしまいました(*^_^*)じわじわ進展していく様子と和田さんの人柄の良さの描写がギュンギュンきます..! (2018年7月8日 18時) (レス) id: 9ea1c3fba9 (このIDを非表示/違反報告)
あいす(プロフ) - ももさん» ありがとうございます。50話に到達しましたので、続編に続きます。ここら辺から、一気に展開を広げていこうと思っています。よろしくお願いします! (2018年7月8日 17時) (レス) id: dc07f22dbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいす | 作成日時:2018年1月21日 0時