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026号室 (GEN side) ページ27

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「……落ち着いた?」

「……泣くと頭痛くなるから嫌なんですよね」

「あーわかる。……なんか飲む?牛乳とかしかなくてごめんなんだけど」

「いや、……うん、大丈夫です。ありがとうございます」






……Aは、その俺が渡したクッションを俺もいつもそうやってぎゅうっと抱きしめてる、なんてことは知らないんだろうけど、さ。



まあそもそも、好きな人が弱りに弱ったタイミングでさりげなく自分の家に上げちゃう俺も俺で我ながらずる過ぎるな、とも思うんだけど。






「……吉留さんと出会って、なんか変わるんやろうなって気してました」

「……うん」




じゃあ、ほんまに変わってもた。

ぽつりと呟いた彼女のその、俺よりも割と低いかもしれない声は、すっと部屋の中へと消えていく。





「変わりたいなあってずっと思ってて、でも変わられへんくて、毎日同じことの繰り返しで。……そしたら吉留さんが急に引っ越してきて、トントン拍子で、……距離が、縮まっていって」

「……まあ、なかなか縮めさせてくれなかったけどね」

「……縮めるつもり、なかったですもん」

「……だろうね」






そんなの知ってる、ずっと感じてた。
だから、必死だったんだよずっと、俺は。




そう言わんばかりにジッと見つめてやると、「もう、お手上げです。降参」と彼女なりの照れ隠しなのか、なんなのか、ちょっとふざけたようにそう言った。






ああやっと言えるのかもしれない。

俺はそう思った。








しばらく時計の針の音だけが、部屋に響く。







「……ねえ、A」

「……なんでしょう」

「……仕事、辞めてさ」

「……うん」






ドキドキとうるさくなる心臓を沈めるために、一呼吸置いて。






「……フォーリミと、仕事しない?」

「…………ん?」

「ほら、ずっとさ、俺がAに言おうとしてた話なんだけど」

「……あ、あぁ……いや、まって急になにを、」

「聞いて、」








混乱させて、ごめん。

驚かせちゃって、申し訳ないと思ってる。







「……Aのこと知る度に、俺、ずっと、ずーっと、一緒に仕事してみたいって思ってたんだよ。……ちゃんと言っとくけどこれは、同情なんかじゃないから」






でも、これが、俺の気持ちなんだ。

ちゃんと、受け取ってほしい。







「本気だから。……考えて。俺の、今までのことも全部ひっくるめて」






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ちわわ - 初めまして!もうめちゃくちゃ刺さりました…大好きすぎる作品です…!第2章のパスワードを教えていただいてもよろしいですか…? (2022年6月3日 2時) (レス) id: 8e9e78c35a (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして!とても素敵な作品ですね!続きが気になります!第2章のパスワードを教えていただけますか? (2021年3月26日 17時) (レス) id: ce4eaa6c55 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダマカロン(プロフ) - 第二章と片岡さんのお話のパスワードを教えてもらいたいです! (2020年10月10日 2時) (レス) id: 41c2841ae6 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - はじめまして!素敵な作品で一気読みしちゃいました(TT)第2章も他の作品も是非読みたいです! (2020年3月6日 1時) (レス) id: 9a92e69ecf (このIDを非表示/違反報告)
- 好きです、でした、、汗 (2020年2月14日 1時) (レス) id: bbe11dd873 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨムヨム | 作成日時:2019年9月11日 12時

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