027号室 ページ28
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「……あ、Aおはよ」
「……おはようございます」
「え、まって缶のゴミそんだけ？すくねえ〜」
って俺が多いだけか、と自分で自分にツッコミを入れる吉留さんは、いつもとなんら変わりがない。
「なにしてんの、行こうよ」
『もし、気持ちがちょっとでもいいなって傾いたら、連絡ください』
昨日の今日、あなたのせいで私の頭はまだ、一向に整理が追いつかないというのに。
「今日休み？」
「今日は昼からです」
「……昼からか」
ゴミを捨て終わればギラギラとした日差しから一刻も早く逃げるように階段へとUターンし、初めて会った時とは逆、吉留さんが私の前を、歩いていく。
すらっと伸びた、それでも筋肉質な足が視界にどうしても入ってきてしまって、声は高いし顔はちょっと甘めだけど、吉留さんは生物上、たしかに男なんだよな、なんて。
「じゃあ、ランチのお誘い、してもいい？」
「……あ、そういえばデートのこと忘れてましたね。いいですよ。何時にします？」
「……Aってほんと淡白だよね」
「……じゃあやめます？」
「……そういうのも、ずるい」
……ずるいのは、どっちだ。
そう思ったけど、やっぱり言わなかった。
「……じゃあ、私からもひとつ」
「え、なに」
「昨日の、……吉留さんがしてくれた話、なんですけど」
右手をドアノブに既にかけながら、目線は、なんとなく吉留さんには向けず。
「……正直、まだ混乱してます」
「……だろうね」
「でも、……ちょっといいかもな、それもって、思ってて」
ああ、暑い、暑いな、もう。
ジッとしているだけなのに、汗がじわり、たらりと首筋を伝っていっては不快感が増していく。
「……面接、受けてみたいんですけど」
昨日、吉留さんは、『本気で、ちゃんと考えて』なんて言った。
念を押すように、懇願するように、必死に。
でも。
本気で考えなくったって。
ちゃんと考えてみなくたって。
「……ほんとに？」
「……まあ、せっかく吉留さんがくれたチャンスやしなあと思ったのもあるし、……面白そうじゃないですか、その話」
私の気持ちはきっと変わらなかったと、そんな気がしていた。
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ちわわ - 初めまして！もうめちゃくちゃ刺さりました…大好きすぎる作品です…!第2章のパスワードを教えていただいてもよろしいですか…？ (2022年6月3日 2時) (
レス) id: 8e9e78c35a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 初めまして！とても素敵な作品ですね！続きが気になります！第2章のパスワードを教えていただけますか？ (2021年3月26日 17時) (レス) id: ce4eaa6c55 (このIDを非表示/違反報告)
ヤマダマカロン(プロフ) - 第二章と片岡さんのお話のパスワードを教えてもらいたいです！ (2020年10月10日 2時) (レス) id: 41c2841ae6 (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - はじめまして！素敵な作品で一気読みしちゃいました(TT)第2章も他の作品も是非読みたいです！ (2020年3月6日 1時) (レス) id: 9a92e69ecf (このIDを非表示/違反報告)
巻 - 好きです、でした、、汗 (2020年2月14日 1時) (レス) id: bbe11dd873 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨムヨム | 作成日時：2019年9月11日 12時
