天才転校生たちは知っている

10話 ページ10

アーヤside

はぁ。

今朝は目立っちゃったなぁ。

今は学校が終わって下校途中。

電車のつり革に捕まって揺られてる。

もう夕方なのにまだ朝のことを気にしてたらしょうがないよね。

よし、前を向こう！

とその時気付いた。

今停車している駅は私が降りる駅だという事を！

慌ててホームに降りると丁度電車のドアが閉まった。

危なかった！

ただでさえ今朝の勉強に集中できてなかったから早めに秀明に行こうと思ったのに乗り過ごしたらいつもより帰るのが遅くなっちゃうよ。

そう思いながら改札を出て自転車置き場から自転車を取り出して家に向かう。

自転車を置いて玄関を開けた。

「ただいま。」

中からいい匂いがする。

奈子が何か作ってるみたい。

私は手を洗って自分の部屋にバックを置いてからキッチンに行った。

「あっ、お姉ちゃん、おかえり。今日はね、マフィン作ったんだよ。ブルーベリーとラズベリーのを。1つずつ智君にあげるんだ。お姉ちゃんの分もあるから食べてね。」

そう言いながら奈子は可愛いリボンで綺麗にラッピングしている。

奈子って幸せだねぇ。

そう思いながら出来立てのマフィンを1つお皿に乗せる。

棚からフォークとナイフを取り出して一口食べてみる。

美味しい！

「どう？」

奈子が心配そうに聞いてくる。

「うん。美味しいよ。」

「わあ、良かった。それ食べて、塾も頑張ってね！」

ん、塾？

ああ！秀明行かなきゃ！

今日は早く行くつもりだったのに！

急がなきゃ！

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