ー142ー ページ7
ーﾘｳﾞｧｲsideー
ッチ、霧が出てきやがった。
嫌な予感がする。
Aの元へ向かうか？
いや、部下を置いてなんて行けねぇしな。
まるで、あの時と同じじゃねぇか。
初めて俺が壁の外に出たあの時と…。
ﾍﾟﾄﾗ「リヴァイ兵長、霧が濃くなって来ました。
このままでは信煙弾は確認できません。
他の班と合流しますか？」
ﾘｳﾞｧｲ「いや。このまま進む。」
不安ではあるが、大丈夫だ。
Aの班は安全な位置にいる。
加えて、ミケもいるしな。
何より、A自身が強い。
ﾍﾟﾄﾗ「…兵長？考え事ですか」
ﾘｳﾞｧｲ「なんでもねぇ。霧が濃くなってる。
お前ら、気を抜くなよ。」
班員「はい！」
辺りに気配はねぇ。
大丈夫だ。
しばらく信煙弾も上がってねぇから恐らく近くに巨人も居ねぇ。
このまま無事に巨大樹の森までたどり着ければあとは大丈夫だ。
焦るな。
Aのことはもちろん大事だが、部下を失う訳にも行かねぇ。
命を守る術は叩き込んだ。
あいつは生きて帰ってくる。
ﾍﾟﾄﾗ「!?リヴァイ兵長！信煙弾です！
霧でハッキリとは見えませんが、
右翼後方に巨人が現れたみたいです！」
ﾘｳﾞｧｲ「!?わかった。信煙弾は俺が打つ。
こっちもいつ巨人が出てくるかわからねぇ。
すぐに動けるようにしておけ！」
右翼後方に巨人だと？
A…。
『私、初めての壁外調査でﾀﾋぬかも知れません。』
大丈夫なのか？
助けに行くか？
いや、今俺が班員を置いて助けに行ってここに巨人共が現れたらどうする
部下の命と、Aの命、どっちを取る…？
部下の命とAの命を天秤にかけるなんて、俺は馬鹿か？
俺の班は精鋭揃いだ。
それはAの所属しているミケ班も同じだ。
だが、万が一の事があったら…？
っクソ
未来は変えられるかもしれねぇなんて大口叩いたのは俺じゃねぇか。
俺がこんなに不安になってどうする。
頭の中に響く、Aの声。
『私がﾀﾋんだら、骨くらいは拾ってくれると嬉しいです』
やっぱり、Aは俺の班に入れるべきだった。
命を天秤に掛ける事は間違っている。
だが、俺にはAが必要だ。
部下を危険に晒すのは俺としても不本意だが、
今はこうするしかねぇ。
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作者名：那月 | 作成日時：2021年2月3日 0時
