ー158ー ページ24
ーﾘｳﾞｧｲsideー
Aのいつもと違う言動に
心臓が強く脈打つ。
まるで、
この世に未練が残らないように
最後の言葉を紡ぎ出してるかのような…
とにかく、異様な雰囲気だ。
貴｢私を拾って育ててくれたのがリヴァイさんで
良かったです。｣
ﾘｳﾞｧｲ｢おい、それ以上言うな。
まさかとは思うが、
このままﾀﾋぬ気じゃねぇだろうな…？｣
貴｢…まさか、せっかく生きて帰ってこれたんです
これからは、リヴァイさんとの
幸せな日々が待ってるのに…っゴホッゴホッ｣
"ﾀﾋねるわけないじゃないですか"
そう続けようとしたA。
だが、それは
口から溢れた血によって阻止された。
ﾘｳﾞｧｲ｢っ！？今医者を呼んでくる!!｣
貴｢…大丈夫です、ここに、居て下さい。｣
自身の血で噎せかえり、苦しそうにするA。
俺は、こんなに辛そうなAを前にしても、
何もしてやれない。
貴｢…っゴホ、そんな、顔、しないで下さい……。｣
ﾘｳﾞｧｲ｢俺に…何かできることはあるか…？｣
貴｢…ただ、そばに居てくれたら、それで充分です。｣
Aは今までで一番優しく
笑った。
Aの笑顔は俺にとって、
光そのものだ。
だが、その光が今まさに強風に煽られ、
消し去られようとしている。
かと言って、俺に何かできる事がある訳でもねぇ。
貴｢わ、たしは、もう長くないです
本当はずっと、リヴァイさんの傍に
居たかったです。｣
ﾘｳﾞｧｲ｢…俺は、お前が先に逝くなんて
許してねぇぞ。｣
貴｢私も、そのつもりは無かったです…
でも、ごめんなさい｣
ﾘｳﾞｧｲ｢っ…｣
目の前で、Aはどんどん弱々しくなっていく。
堪えていた涙がAの頬を伝い
枕に染み込む。
ﾘｳﾞｧｲ｢…っクソ!!!!｣
貴｢大丈夫、きっと、また会えますよ。｣
ﾘｳﾞｧｲ｢…っ次なんてねぇ。ﾀﾋんだら、
それで終わりなんだよ…っ｣
Aの手を握り俯いたまま言い放つ。
Aは困った様な顔で笑った。
貴｢じゃあ、私を忘れないで下さい…
そうすれば、私はリヴァイさんの中で
生き続けます。｣
ﾘｳﾞｧｲ｢…っおとぎ話じゃねぇんだぞ。｣
リヴァイの言葉に対し
Aは小さく首を横に振り
笑った。
"はい、おとぎ話じゃありません。"
.
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作者名：那月 | 作成日時：2021年2月3日 0時
