ー156ー ページ22
ーﾘｳﾞｧｨsideー
あれから、6日が経った。
あの後、壁外調査は中断され、
俺はAを抱えたまま壁内に戻った。
そして、医者にAを見てもらった。
肋骨、大腿骨、骨折
内臓出血複数
脳震盪
これがAの診断結果だった。
山は過ぎたが、あれからAは目を覚まさねぇ。
ﾊﾝｼﾞ｢…やぁ、リヴァイ。｣
ﾘｳﾞｧｨ｢…クソメガネか。｣
ﾊﾝｼﾞ｢Aの様子どう？まだ目覚めない？｣
ﾘｳﾞｧｨ｢眉ひとつ動かさねぇよ。｣
ﾊﾝｼﾞ｢医者の話ではもう目を覚ましても
いい頃なんだけどね…。｣
このまま目を覚まさねぇなんて事はねぇよな…？
そういや、前にもこんな事があったな…。
あの時とは状況が違うが
気持ちはあの時と同じだ。
いつ目覚めるかも分からねぇ。
いつまでも寝顔を眺めることしか出来ない。
無力感。
ﾊﾝｼﾞ｢…リヴァイ、そんな顔してるとAが
目を覚ました時に心配するよ。
いい加減君も休んだ方がいい。｣
ﾘｳﾞｧｨ｢…そうだな。だが、こいつが
いつ目を覚ますか
分かったもんじゃねぇからな。｣
俺はあれからほとんど睡眠を取らず、
Aを見守っている。
そんな事を露知らず、
こいつは呑気なもんだ。
ﾘｳﾞｧｨ｢…なぁ、クソメガネ。｣
ﾊﾝｼﾞ｢ん？なに？｣
ﾘｳﾞｧｨ｢…このまま目を覚まさねぇ
なんてことはねぇよな？｣
ハンジにそう聞くと、
困ったような顔で俺から目を逸らした。
ﾊﾝｼﾞ｢…私にも分からないな。
でもさ、案外前みたいに欠伸でもしながら
いつもの笑顔でおはようって
起きるかもしれないよ？｣
たしかにな…
それくらい、綺麗な顔で眠り続けているA。
ﾘｳﾞｧｨ｢…早く起きろよ。｣
ﾊﾝｼﾞ｢……。｣
Aの手を握り軽く口付けする。
今もAの胸には、
あのネックレスが着いている。
前に、Aが
｢これがあればどこにいてもリヴァイさんと繋がっているような気がして｣
なんて、ガキみてぇな事言ってたからな。
俺は全くそんな気はしねぇが。
もし、このネックレスで俺とお前が繋がってるのなら
俺は絶対に外さねぇ。
なんてな……。
そんな、夢見てぇな話に、縋ることしか
今の俺には出来なかった。
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作者名：那月 | 作成日時：2021年2月3日 0時
