ー154ー ページ20
ーﾘｳﾞｧｨsideー
ﾘｳﾞｧｨ｢A！大丈夫か!?!?｣
貴｢い、ぎて、ま、す｣
Aは辛そうにだが笑顔で答えた。
お前の笑顔には何度も救われたが、
今、この時の笑顔にだけは
胸が抉られるような
そんな気持ちになった。
ﾘｳﾞｧｨ｢そうか。もう喋るな。
このまま前の班に合流したら
すぐに帰るようエルヴィンに伝えるからな。｣
貴｢わ、たし、のせいで、ごめ、なさ、｣
お前のせいじゃない。
そもそも、あの時、お前じゃなく、
俺が助けに入るべきだった。
ﾘｳﾞｧｨ｢お前のせいじゃねぇ。
俺が不甲斐ないばかりに
お前に辛い思いをさせた。｣
貴｢…｣
俺がそう告げると、Aは自由に動かないはずの体で
俺の頬に手を伸ばした。
貴｢み、けん、のしわ、また、
こくなっ、ちゃいますよ｣
ﾘｳﾞｧｨ｢そんな事は今はどうだっていい。
とりあえず、この場を離れる。
辛かったら言えよ。｣
Aは静かに目を閉じ、
俺に身を預けた。
触っただけじゃ、分からねぇが、
この様子だと、かなり負傷してるはずだ。
Aを横抱きにし、
馬に跨る。
そのまま、前の班を追い
馬を走らせた。
ﾍﾟﾄﾗ｢兵長…｣
ﾘｳﾞｧｨ｢…なんだ。｣
ﾍﾟﾄﾗ｢Aは、助かるでしょうか…？｣
そう聞いてきたペトラの声は震えていた。
自分より年下の、
15になったばかりのガキに命を救われたんだ。
そうなるのも当たり前か。
ﾘｳﾞｧｨ｢Aは、俺が必ず助ける。
お前は安心して前だけ見てろ。｣
ﾍﾟﾄﾗ｢……はい。｣
ﾐｹ｢リヴァイ、Aは…｣
ﾘｳﾞｧｨ｢何とかまだ息はある。このまま前の班に
合流して、応急処置を施す。｣
ﾐｹ｢そうか。Aは今、眠っているのか…？｣
何が言いてぇんだ…？
Aがもうﾀﾋんでるとでも…？
Aは今俺の腕の中で
浅いが、ちゃんと呼吸をしている。
助かるはずだ。
ﾘｳﾞｧｨ｢…生きてる。｣
ﾐｹ｢……そうか。なら急ごう。｣
当たり前だ。
Aは何があっても助ける。
こいつがまた笑って暮らせる様に、
俺が守ってやるんだ。
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作者名：那月 | 作成日時：2021年2月3日 0時
