ツンデレすぎる護衛人【灰谷竜胆】

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かしこまりました、と言い
不安げな私に微笑みをひとつ落とした彼が部屋から出ていく。



扉が完全に閉まったことを確認した社長が
少し言いにくそうに口を開いた。





｢先方との話し合いの結果、
記者会見を開いて二人で交際を認める、ということでまとまった。｣


『………え、』




社長の話はこうだった。
記事が出てしまった以上、私もSさんもイメージダウン。
ならばいっそ交際を認めてしまった方が潔いのと、
逆手にとって宣伝にもなるとのこと。
清純派で通っている私と、硬派なイメージのS。
その二人が交際となればテレビ、雑誌、その他メディアが黙ってないだろう。
それを狙ったのだろう、社長も先方も。




『で、でも私…っ』

｢…我慢しろ。｣



苦虫を噛み潰したような顔。
バレていることに少し驚いたが、
社長だって人間だ、多少の罪悪感は感じているようだった。








＊






｢…明日、揃って記者会見やるんだってな｣



帰りの車内、重い空気が流れる中彼が口を開く。



『…やっぱりやだよ…りんちゃんが好きなのに…っ！』


｢……そうだな。｣









彼はそれっきり、口を噤んだ。
何となくそれが、“俺には関係ない”とでも思っているような気がして、胸がチクリと痛んだ。


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