検索窓
今日:13 hit、昨日:8 hit、合計:145,578 hit

04 ページ4

.


『え……!?』

「二度も言わせんな、振り向くなよ。」



そう言われた直後、後ろからは男の呻き声と殴るような音が。
それに驚き肩を震わせ、反射的に目を瞑った。













“後処理しとけ” “うっす”
そんな言葉と共に頭の上にぽん、と大きな手が乗った。



「早く帰れよ。」

じゃーな、という声に振り向くと、
スーツを着た紫色のウルフカットの男性が去っていくところだった。



『ま、待って……!』


勇気をだして声を振り絞る。
足を止め、ゆっくりと振り返った彼と目が合った。





「あ?振り向くなって言っただろーが。」

心底面倒くさそうなその顔。
だけど私の胸は、目が合った瞬間から鳴り止まない。



『あの、えっと、ありがとう、ございます…。』

「……別に。」


そう言うとまた背を向けて歩き出し、なにやら黒塗りの車に乗って去ってしまった。






『……かっこいい…………、』

ストーカーに一歩間違えれば殺されていたかもしれないのに。今の私は少し頬を赤らめて道に座り込んでいた。
そして、私の口から出たのも紛れもない本心だった。














翌日。



「A…本っ当にごめんね……っ!」

『や、大丈夫です…ほんとに。』


昨日のうちに起きたことを報告し、その時もめちゃくちゃ謝られたのだが、今日も迎えに来た開口一番これである。
とりあえず車に乗り込んでその時の様子を話すことに。






「へぇ、なんだか怖そうな匂いのする人ね…」

『はい…ぶっきらぼうだったけど、
すっごくかっこよくて…。』


なんだか一目惚れしちゃったみたい…。
そう呟くとマネージャーがむせ込んだ。





「…A?わかってると思うけど…」


『わかってます。今は大事な時期。
スキャンダルはご法度、ですよね?』


わかってるならいいのよ、頼むわね?
なんて釘を刺されてしまったらもう、
自分の胸の内に秘めるしかなくなってしまった。






まぁでも、あの一瞬だけだったし。
しかも、多分ちょっと怖い人だし。
私には縁がないし、二度と会うことはないだろうな。



05→←03



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (420 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1175人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

shinox2(プロフ) - そうです!Twitterの方でも見せて頂いてます☺️ (2021年10月16日 1時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - shinox2さん» 攫われるのいいですよね!?あの、違っていたら大変申し訳ないのですがいつもTwitterの方でいいねとかくれる方でしょうか…?お名前が同じだなぁと…! (2021年10月15日 23時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひちゃん!読んでくれてうれしい!そして東リべに沼ってくれて嬉しい!!!何が言いたいかと言うと大好き!!!! (2021年10月15日 23時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 環さん» え!?!?たまちゃん!?!?東リべ読んでたの!?ありがとう!!とても嬉しい!!!! (2021年10月15日 23時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - えのきさん» えのきさん…ほんっといつも読んでくれてありがとうございます……!そして毎回褒めてくださるからとても調子に乗ってしまいます…泣 (2021年10月15日 23時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:唯梨 | 作成日時:2021年10月4日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。