ツンデレすぎる護衛人【灰谷竜胆】

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『お疲れ様でした〜』


いつもならマネージャーに家まで送って貰うのだが、どうしてもこの後外せない仕事が入ってしまったらしく、今日は電車で帰ることに。

家は三駅先、駅から徒歩十分。
大丈夫だろう、すぐだから。





＊





一応、サングラスにマスクをして電車に乗り込む。
偶然にも車内のビジョンに自身が出演するCMが流れ、なんとなく気まずくて目を逸らした。


駅の改札を抜けて、階段を降りるが
なんとなく、つけられている気がする。
なんなら車内に乗り込んだ時から感じていた。



振り返るも、誰もいない。
なんだか怖くなって早歩きをするも、
その嫌な視線はどこまでもまとわりついてきた。



このまま大人しく家に帰ってしまったら部屋番号もバレてしまうし、さすがに怖いので一度コンビニに入り、マネージャーに連絡をしようとマンションの前を通り過ぎようとしたその時。







ガっと掴まれた腕。

『、！』

｢家、通り過ぎてるよ？｣


自分より随分と年が離れているような中年の男の声。
はぁはぁと息が荒く、興奮している様子。

間違いない、こいつが最近の嫌な視線の犯人だ。
怖くて怖くて、振り返ることが出来ない。




｢ほら、こっち向いて…よく顔を見せて？｣

『い、や…！』

さらに強い力で引っ張られ、痛みで私の顔が歪む。
恐怖で声を上げることも出来ない。
おまけにここは人通りが少ないし、連れ去るには絶好の場所だろう。最悪な程に条件が揃ってしまった。




｢ほら、早くしないと傷付けちゃうよ？｣


後ろからなにやら金属音がする。
ついに私の目から涙が零れた時。









｢目閉じてろ、振り向くなよ。｣


その男とは違う、別の声が聞こえた。


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