戯れど、野に咲く薔薇の如く (ページ5)

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煉獄杏寿郎ページ5

「師匠、私も連れていってください！！」

「うむ、いいだろう！！ならば共に行こう！」

燃え続ける煉獄の熱き魂。
一世代、二世代、三世代と後世に継がれる誇り高き心。

私も受け継げるだろうか。
いや。私は煉獄杏寿郎に選ばれたのだから受け継がなければならない。
剣筋を認められ、その真っ直ぐな瞳で「強くなれる！！」と。
私よりも大きい手で撫でてくれたあのひと時を忘れるべからず。
女だけど、男に屈するな。鬼になど断じて負けてはならぬ。
男より力が弱ければ鍛錬すればいい。それでもダメならば知恵をつけよう。そうして私は強くなれる。

言い訳ばかりじゃダメ。一度失敗したからもう出来ない？そんな甘えたこと二度と言わない。炎柱の継子が笑わせてくれる。

でも、目の前の強者に膝が震える。上弦の参。月夜に照らされ輝くその洗練された体。
そんな奴と私の師匠、煉獄杏寿郎は闘っている。

あの魘夢という鬼に魅せられた微睡み。
鬼に惨殺された私の家族。皆笑っていた。
幸せそうだった。

そんな幸せを、なぜお前らが奪える。

「記憶を失って、生きることの目的さえ迷子の鬼がなぜ生きていられる！！！！！」

「私たちから幸せを奪うな！！！！私の愛い師匠を奪わないで！！」

師匠の邪魔になってはいけない。だからといって継子の私が指くわえてみてるだけという訳にも。

「私たちは選ばれたのよ炭治郎！！
刀に、御館様に、そして鬼舞辻無惨にも！！！」

「女、なぜあのお方が貴様らのような弱い人間を選ぶと言えた？」

「鬼舞辻無惨は自分に訪れる死を異様な程に恐れているんだろう？簡単なことじゃないか。」

「だから私たちは選ばれたと言える。私達の刃は何れ鬼舞辻無惨に届く。」

頑張って鬼を作っているみたいね。
自らの血を分け与え、適合しなかったものは死。

彼らに愛する者がいたら？その悲惨な状況をどう捉える？復讐しかないでしょう。

復讐してやるんだ。

「師匠！！私は時間稼ぎ……出来たでしょうか？

もうすぐ日が昇る。額に青筋浮かべた上弦の参。鍛錬された脚力で私の前にひとっ飛び。

「お前が女でなければ殺していた」

そういい腹を殴られる。下腹部だ。いくら呼吸をしようと頑張るも何かがつっかえてしまう。
このままでは……

「心を燃やせ！！！！！！！！！」

師匠。眼、潰れてるじゃないですか。

「はい！師匠！！！！」

失わせてはいけない。どうかお天道様、私からこれ以上大切な人を奪わないで。