愛おしさ全開！鶴丸国永くん (ページ5)

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FEAR″畏怖恐怖″ ページ5

「“おいでなさい”」

苦しそうに震えた女の声と共に、俺は初めての“顕現”を体験する。

パッと光り輝いたかと思えば、それは刹那の間に暗くなる。
そして数刻。俺は二回目の現世に降り立つ。

そこには先刻まで見ていた映像の、霊力コントロールの下手くそなキミがいた。

黒い髪で、赤い眼の……他とは違う俺をみて心臓を抑えるキミ。

ゴホッという咳と鈍い音の膝と床がぶつかる衝突音。
ヒュッ、風が切るようなか細いソレは……ああ、過呼吸と言うやつか。

俺を顕現するのに随分と体力を使ったらしい。

「やぁ、俺は鶴丸国永。
時の政府の厄介者で、崇拝されない祟り神さ。
ああ、なに、心配するな。キミを祟り殺したりなんてしないぜ」

「ハァ……つ、るまるさんですね。
すみませｯ……ハｧ」

苦しそうに顔を顰める目の前の女。
そして胃を決して立ち上がる、その凛とした表情。

「私は貴方の主、審神者名は縁。
歴史修正主義者の撲滅を目指しましょう。私の手を取ってくれますか？」

俺より小さいキミが、少しだけ、ほんの少しだけ大きく見えた。

「驚きだ……」

思えば、渇いた日々だった。
色褪せた現実に半ば絶望すら抱いていて。

どれもこれも同じような審神者で、俺の分身体はつまらなくて可哀想だとばかり。

ああ、でも……暇つぶしだ。

「特別だ。キミの手を取ろう」

どうか気づかないでくれ。黒い俺はしすてむえらーだということに。